第15話

#15
357
2020/04/20 01:00
ひとしきり泣いた後、私は涙をぬぐって教室へ戻った。

そこに華澄ちゃん達はおらず、いるのは音葉ちゃんと、あと少しの生徒のみ。
皆きっと外に行っているんだろう。

私にとっては好都合だ。涙の跡を大勢に気づかれずにすむし、他の人の目を気にせず音葉ちゃんに話しかけられるから。



高木 みお
高木 みお
音葉ちゃん!
宮部 音葉
宮部 音葉
ん、なに?
高木 みお
高木 みお
あのさ
高木 みお
高木 みお
私と友達に、なってくれる?
宮部 音葉
宮部 音葉
えっと.......

音葉ちゃんは驚いたような表情をしていた。

そりゃそうだ。急に「友達になってくれる?」なんて聞かれたんだから。

宮部 音葉
宮部 音葉
私もう友達だと思ってたんだけど

友達じゃなかった?なんて笑いながら聞いてくる彼女。

今までの関係は私にとって“偽物の友達“だ。
だって他の人に縛られて、周りの目を気にして。
そんなの、本当の友達じゃない。

だから今からは“本当の友達“。

偽ること、気にすることなんてなにもない。
そんな友達。
高木 みお
高木 みお
今までも友達だよ
高木 みお
高木 みお
でも今からは本当の友達なの
宮部 音葉
宮部 音葉
よく分かんないけど、なんかあったんだねw
宮部 音葉
宮部 音葉
でもいいの?私、オタクだし、リアコだよ?気持ち悪くないの?
音葉ちゃんは不思議そうに聞いてくる。

今まで気持ち悪いと言われてきたんだろう。
でも、優しい音葉ちゃんは気持ち悪くなんてない。
高木 みお
高木 みお
オタクだって、リアコだって
高木 みお
高木 みお
それだっていいじゃん!
私は笑って、そう答えた。

それを聞いて彼女もニコッと笑ってくれる。
その笑顔を見て、自分に正直になれてよかったな。
改めてそう思った。

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