前の話
一覧へ
────『王子様』って本当にいるのかな?
過去に私はこんな質問を誰かにされた事がある。
でも今なら答えられる。
────『王子様』は本当にいるよ。
って。
──────────────────────
────ピピピピピ ピピピピピ
アラームの音が鳴り響く中、私はアラームを止めて時間を見ると…
>午前10時
────ピコン
スマホの通知音が鳴り、ロック画面には下野さんのツイートが。
慌てて飛び起き、ツイートの内容を見ると…
────『下野紘、Twitter始めました!』
という文字が、、、。
すぐにフォロー。フォロワーの数を見てみると、すぐに10万人越え!
下野さんに返信しているコメントなどを見てみると…沢山の人からのコメントがあった。そこに私も返信をする。
────『下野さん、Twitter開設おめでとうございます🎉🎉』
ベッドに向かって手を広げ、勢いよく寝転んだ。
私の王子様は人気声優の下野紘さん。
私は下野さんに恋をしている。
私はファンで、下野さんは声優。
私は下野さんのライブやイベントもまだ行ったことが無い。
こんな私がこんな恋、叶うはずも無い。
と思いながらもやっぱり期待してしまう。
そんな自分が嫌でまた目を閉じる。
目を覚ますと…
<午後12時10分
ベッドから身体を起こそうとすると
何やら外が騒がしい。
────「下野さん今度は腕を組んでみてください」
────「こんな感じですか?」
────「いい感じです!」
え、今、『下野さん』って聞こえたような…
立ち上がりその声に誘われるように窓を開けて、外を覗いてみると、、、。
私の声に気づいたのか、下野さんと目が合ってしまった。
すると、下野さんは私に向かってニコッっと笑い軽く手を振ってくれた。
え?!待って?下野さんが…手を振ってくれた?!
私はビックリして下野さんから隠れてしまった、、、。
でも、やっぱり夢か現実かを見極めたくてもう一度窓の外を見てみる。
やっぱり下野さんがいる。
<数時間後
撮影が終わったのかスタッフさんらしき人達と一緒に去っていってしまった。
結局、『夢じゃない』と分かってからずっと窓越しから眺めてるだけだった。
もう二度と会うことも無いかもしれない。
すると、下野さんが立っていた所に何か落ちているのが見えた。
慌てて家の階段を降り、玄関を出ると財布らしきものが落ちていた。
奇跡的にそこには人が居らず盗まれなくて良かったと少しホッとした。
急いで下野さんを探した。
数分ぐらい経ったところで、帽子とマスクをして古いガラケーを手に電話している人がいた。
ファンなら誰もが気付くに違いない。思い切って声を掛けてみた。
すると、私の声に気づいたのか照れながらも
『そうです』と返事をしてくれた。
私は拾った財布を見せると
私との距離が近くなり、生暖かい息がかかる。
マスクを外してお礼を言う下野さんはとてつもなく可愛く、とても30代には見えなかった。
私の顔を見て何かに気づいたのか、下野さんは私の顔を「じー」っと見つめてくる。
え?
なんで私の名前知ってるんですか?!
唐突に名前を言い当てられた私は開いた口が塞がらなくなってしまった。
え、、、。
もしかして、あの…『紘くん』?
え、てことは…下野さんが『紘くん』って事?
──────────────────────
[プロローグ]
私と紘くんは指切りをして約束をした。
私達は年の離れた幼馴染みだった。
この時、紘くんは20歳。
私は6歳だった。
その後、紘くんは家の事情で引っ越してしまった。
────あれから10年の月日が経った。
私は16歳になった。
──────────────────────
紘くんは手を広げて『おいで』と言った。
私はその言葉に誘われるように。思いっきり紘くんに抱きついた。
紘くん抱きついた瞬間、私は涙が止まらなくなってしまった。
紘くんは私の涙を手で拭った。
もちろん、覚えてる。
なぜ紘くんが声優になったのかはまだ分からないけど、声優としての『下野さん』も幼馴染みとしての『紘くん』も大好きだから。
私はまた紘くんに抱きついた。答えなんかもうとっくの昔に決まってた。
────今日から恋します。
──────────────────────
作者のゆめです✨
今回の小説は下野さんをテーマにした何かが書きたくて、この小説を書きました✨
私の妄想もちょこっと入ってます(笑)今回も小説を読んで下さりありがとうございます🙇
次回もお楽しみに!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。