2人は、ほのぼのとした雰囲気で話しながら道を歩いていた。
すると________________
遠くの方から、女の人の叫び声が聞こえてきた。
思わず、あなたもケータもギョッとして足を止める。
あなたが指差した方向を見ると、女の人の帽子がだんだんと大きくなって、"バッカでっかく"なった帽子に埋もれていたところだった。
さらには、男性が漕いでいた自転車が突然ぐんぐんと"バッカでっかく"なり、男性が飛ばされたが、
近くのおじいさんの"バッカでっかく"なった髭にダイブしてなんとか無事だったところも。
魚屋さんの水槽に入っていたタイが"バッカでっかく"なっておばあちゃんの方に飛んで行った、なんてところまで。
他にも、ハンバーガーやポテト、ドリンクが"バッカでっかく"なったところ、
掃除機、飼い犬、などなど__________
あなたとケータは、叫び声が飛び交う辺りを見回す。
困惑しているケータの隣で、あなたはふと空を見上げた。
あなたとケータが見上げた建物の上に、何かが目に入る。
ぼやけていて、しかしよく見ると猫のような形にも見えていた。
あなたとケータは、片手で目をゴシゴシとこする。
次第に、うっすらとだが形がはっきりしてきた。
その猫のようなうっすい物体は、息を大きく吸って、桃色の鼻息を吐き出した。
すると、桃色の煙に当たった八百屋さんのキャベツやナス、野菜を入れていた籠がポンポンポンッと"バッカでっかく"なっていく。
しかも、その煙に当たった女性の青い靴までもが"バッカでっかく"なり、周囲の人達も煙の勢いに飛ばされる。
あなたとケータは、重心をかけながら何とかその場で持ち堪えていた。
ケータとあなたが思わず声を漏らすと________
ケータはキョロキョロと辺りを見て、自分を指差す。
身を乗り出してくる猫妖怪に、あなたとケータは同時に後ずさる。
すると、猫妖怪はふわりと浮かんで、2人に近づこうとしてきた。
ケータはあなたの手をつかんで慌てて走り出した。
あなたとケータは、大通りまで走ってきた。
叫び声を上げて走る2人を追いかけてきた猫妖怪が、ドガァァァンッと建物をお構いなしに壊して、激突していく。
砂埃が舞う、瓦礫の中から猫妖怪は顔をのっそりと出した。
ケータに手を握られて走りながら、あなたはそう叫ぶ。
あなたの手をひきながらケータは叫ぶ。
猫妖怪はそんな2人を見て、目をニヤァっと細めると、ギュムギュムと詰め寄った。
息を吸い込んで、桃色の鼻息ではなく鋭い稲妻を放つ。
稲妻をもろに受けた2人はビリビリと電流を受ける。
猫妖怪は言い聞かせ、洗脳させるように繰り返す。
2人の頭の中に、ある2つの姿が現れる。
『うぃっすー!』
『ニャニャンッ!』
ウィスパーとジバニャンの姿が渦巻き、色が混ざり合う。
そして_________________
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!