朝・・・目が覚めると、俺は
熱が少し、下がったようで、昨日よりは
体が、熱くなかった。
俺は、少しダルイ体を、よいしょと
起こし、2段ベッドの、上を覗く・・・
が、天馬先輩は、いない・・・
慌てて、体を動かしたため、
ズキっと頭に、痛みがはしる・・・
クソっ、地味に痛え
そして、ようやく、俺は、机の上に
天馬先輩が、書いたであろう、手書きの
手紙を、見つけた。
ここまで、俺のためにしてくれるなんて
いつも、天馬先輩の行動に、ハラを
立てている俺の、なんとちっぽけな事だ。
その手紙を、握り締めながら、しぜんと
口が緩んで、変な笑顔になる。
嬉しいけど、照れくさい、そんな感じ。
階段を、登り、ベッドに転がる
俺・・・
昨日、ここで天馬先輩が、寝てたのか
変な、物置いてなかったよな?
俺は、ソワソワと、自分のベッドの上で
確認作業に入る・・・ん?
頭を、グイッと、布団の中に
うずめかせる俺・・・
ああ、なんなんだよもう!
意識しちゃダメだって、思うほど
変な気持ちになってしまう・・・
別に、アイドルのポスター見られたのが
恥ずいとか、そうじゃなくて・・・
いや、実際は、そうか・・・くう・・・
そして、知らないうちに、俺はまた
布団の中で、眠ってしまった。
パチッ
ガタン!!
目を、次に覚した瞬間・・・もう
夕方だったのか?
俺の事を、静かに覗いていた
天馬先輩と、目が合い、2人して驚き
そのまま、足を滑らせ、階段から落ち
天馬先輩は、ドスンとしりもちを
ついた。
ギシ、ギシ・・・
俺は、階段を、降りると、しりもちを
ついて、少し痛がっている天馬先輩を
見て、笑ってしまった。
やっぱり、見てたんじゃん。
俺は、また、クスッと笑い、天馬先輩に
お礼を伝える。
腕を、ぐるっと、ひと回りさせて
元気さを、アピールした。
ドクン・・・また、思い出してしまった。
熱が出た、原因は、天馬先輩が
チョコ食べて、酔っ払って・・・服を
ダメだ、思い出すな!!
あきらかに、目が泳いだ俺は
ダラダラと、謎の汗が出てきた。
自分でしておいて、なんだよ
その反応・・・でも、天馬先輩が
誰にでも、その、キスしちゃう人だったら
あの行為は、納得がつく・・・
納得したくねえけど・・・
天馬先輩も、動揺を隠せないらしく
みるみる声が、小さくなる
ここで、引き下がったら
俺は、ずっとモヤモヤしっぱなしな
気がする・・・
沈黙する俺たち・・・・
でも、なぜかその言葉を聞いて
少し俺は、安心したような気がした。
天馬先輩、あれ?キスしたことないの?
じゃあ、あれが・・・ファースト
確かに、俺は、変になってるかもしれない。
女の子じゃ、あるまいし、何
自分とのキスが、ファーストキスで
よかったなんて、思ってんの!?
俺自身が、気持ち悪い・・・
そもそも、俺とのキスなんて
天馬先輩酔ってたし、覚えてるわけ
ないよな・・・
最近、キスやら天馬先輩の事が
頭から離れず、ついに俺の頭には
容量がなくなって、パンク寸前だ・・・
いや、もう半分爆発してるかも
声が、一瞬裏返った。
キスについては、天馬先輩に
バレたくないような、バレたいような
謝る・・・俺にした事を?
謝れば、キスも何もかも
無かったことになるのか・・・?
本当に、最近の俺は気持ち悪い
でも、正直に言ったほうが、いいのかも
しれない・・・
もしかしたら、俺の考えてる事なんて
そんなに、重要な事じゃないのかも
しれない・・・
自分の口から、言うのが怖い
「嘘だ」って、言われるかも・・・・
でも、言ったら何か、ふっきれる
気がする・・
俺は、スウッと、息をはき、天馬先輩を
見つめた。
言え、言うんだ・・・ダメだ
クソっ・・・・言え・・・
「キスされた」・・・・たった5文字が
言えない・・・
そして、歯を食いしばり、
言葉がつまる俺を
静かに天馬先輩は、話を聞こうと
待っていてくれた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。