第28話

プチ物語『子供の頃の記憶』
226
2019/11/29 11:48
文化祭2日目の前夜・・・・
カリ・・・カリ・・・・

僕、天馬てんま 海星かいせいは、
かず君との、文化祭を、スムーズに

回る計画を、1人熱心に立てていた。
天馬 海星
天馬 海星
まだだ、僕の計画は、こんなものじゃ
ないはず・・・
天馬 海星
天馬 海星
いつも、かず君に、会えないから
僕の、事を・・・少しでも好きに・・・
藤田 雅久
藤田 雅久
お前は、また・・・
良からぬ計画を・・・せっせと、立てて
天馬 海星
天馬 海星
は!が、雅久がくいつのまに!?
僕が、扉の方を、振り替えると
ため息をつきながら、におうだちしてる

雅久が、顔をしかめた。
藤田 雅久
藤田 雅久
兄貴の何が、いいんだよ?
天馬 海星
天馬 海星
お前には、関係ない・・・
僕は、再び、ノートにかず君と
回るデートプランを、考える事にした。
藤田 雅久
藤田 雅久
本当、ツンツンして可愛くねぇ
静かに、僕に近づく雅久・・・
サラリと、僕の前髪に、触れる。
天馬 海星
天馬 海星
触んなよ!
藤田 雅久
藤田 雅久
どうして、いつも前髪で顔
隠してるんだ?傷でも、あるのか?
雅久が、少しかがみながら、僕の
顔を、ジッと見る。
藤田 雅久
藤田 雅久
傷なんて、どこにも・・・
サッ、サッ・・・

慌てて、前髪を、元に戻して
顔を隠した僕・・・・

僕は、他人にこの顔を見られるのが
嫌いだ・・・そう、僕は、自分の

この顔が、大っ嫌い・・・
天馬 海星
天馬 海星
・・・・
藤田 雅久
藤田 雅久
どうして、また隠すんだよ?
前髪分けてろよ。目に、ささるぞ?
天馬 海星
天馬 海星
ヤダ・・・
藤田 雅久
藤田 雅久
べつに、ブサイクなわけでも
あるまいし・・・
天馬 海星
天馬 海星
ブサイクだよ!僕の顔は・・
だって・・・かず君が・・・
そう・・・


僕が、自分の顔を、隠し始めたのは、
子供の頃にかず君に

言われた、ある一言が原因だった・・・・









さかのぼる事・・・・10年ほど前・・・
天馬 海星
天馬 海星
かず君!あ・そ・ぼ
これが、まだ子供だった時の
僕・・・・そして
藤田 一希
藤田 一希
また、来たの?海星かいせい
この子が、僕の大好きなかず君。
藤田 雅久
藤田 雅久
あ!海星〜、俺と遊ぼ?
この、いかにも元気のいい奴は、
雅久・・・・
藤田 一希
藤田 一希
あれ蓮斗れんとは?
天馬 海星
天馬 海星
お兄ちゃんは・・・知らなーい
藤田 一希
藤田 一希
1人仲間外れにするのは、可哀想
だろ?
藤田 一希
藤田 一希
家にいる?
天馬 海星
天馬 海星
・・・・いる
藤田 一希
藤田 一希
じゃ、行こう・・・・
天馬 海星
天馬 海星
・・・
そう、この頃、僕のライバルは、
兄さんだった。

なにかと、僕とかず君の仲を
邪魔する迷惑な存在で、僕は、そのせいで

いつも、かず君を独り占め
できなかった・・・
僕と、かず君、ついでのに雅久の、
家は、隣同士だったため、すぐに

出入りできるせいで、高校生になった
現在も、たびたび、いや毎日雅久に

僕の部屋は、不法侵入されている。
ガチャ・・・・
藤田 一希
藤田 一希
蓮斗れんと・・・居る?
天馬 蓮斗
天馬 蓮斗
あ・・・な、何?
毛布に、くるまっていた兄さんが、
むくりと起き上がる。
藤田 一希
藤田 一希
海星が、うちに、来て「遊ぼう」って
言うから、遊びに来た・・・・
天馬 蓮斗
天馬 蓮斗
あ、うん・・・僕も入れて
くれるの?
藤田 雅久
藤田 雅久
だって、れん兄の、家
ゲーム機あるんだもん!
藤田 雅久
藤田 雅久
ゲーム、4人で対戦しようぜ
雅久の、デカイ声が部屋中に
響き、僕は、思わずため息をつく。
天馬 海星
天馬 海星
じゃあ、何かジュース取ってくる
天馬 蓮斗
天馬 蓮斗
僕が、行こうか?
天馬 海星
天馬 海星
えっ、良いの?
じゃ・・・おねが・・・
その時、僕と兄さんの前に
割り込んできた奴がいた。
藤田 雅久
藤田 雅久
大丈夫、大丈夫!
俺も、海星について行くから
そう、雅久だ・・・
兄さんの次に、僕にとって邪魔な存在。

ここぞというときに、邪魔されるのは、
コイツのせいだと、僕は思っている。
藤田 一希
藤田 一希
わかった、じゃあ、蓮斗
ゲーム機セットしよう
天馬 蓮斗
天馬 蓮斗
うん、わかった
天馬 海星
天馬 海星
・・・・
僕は、わがままだったと思う・・・

末っ子なんて、そんなものだよ・・・

でも、どうせなら・・・僕が、先に
生まれたかった・・・そしたら

かず君の、横にいたのは僕だった
はずなんだもん・・・・
コポポポポ・・・・

ジュースを、注ぎながら
僕は、ハアと深いため息をつく。
藤田 雅久
藤田 雅久
どうした?
明るい笑みを浮かべながら
僕を、見つめる雅久・・・

僕とは、まるで考えてる事も
違うんだろうな・・・良いなぁ
天馬 海星
天馬 海星
僕ってさ、わがままだと思う?
次の、ジュースをコップに
注ぎながら、雅久に話しかける。
藤田 雅久
藤田 雅久
いっ、いきなり何の話だよ?
天馬 海星
天馬 海星
・・・そうだよね
雅久には、関係な・・・
藤田 雅久
藤田 雅久
お前の、そういう態度がムカつくんだよ!何が、関係ないだ!!
天馬 海星
天馬 海星
えっ
藤田 雅久
藤田 雅久
わがままとか、どうでもいいんだよ
そんなの気にするより、ジュースでも
飲んで元気だせって!
天馬 海星
天馬 海星
どうでもよくなんか・・・ないもん
このままじゃ、いつかかず君に
嫌われて・・・
そうだ、多分・・・自分でも
わかってた・・・

兄さんや、雅久の事を邪魔扱い
してる僕は、わがままで・・・

そして、自己中・・・こんな僕は
かず君になんか、好きになんて

なってもらえない・・・

気が付けば、目から大量の涙が
こぼれてきていた・・・
藤田 雅久
藤田 雅久
あ、もう・・・泣くなよぉ
よしよしと、僕の頭をなでて
くれる雅久。

全然、嬉しくないはずなのに・・・
雅久の優しさが伝わってきて・・・
すごく安心できた・・・
藤田 雅久
藤田 雅久
あのさあ、海星って、兄ちゃんの
ことが、好きなの?
僕を、なでながら
心配そうな、顔をして、雅久が、
僕に問いかける・・・
天馬 海星
天馬 海星
好き・・・だよ
藤田 雅久
藤田 雅久
うん、わかった!待ってて
天馬 海星
天馬 海星
??
雅久は、何か、思いついたように
兄さんたちのいる部屋へと、走って

行った・・・
そして、数分後・・・

雅久が、かず君、ついでに兄さん
を、連れて僕の前に戻ってきた。
藤田 雅久
藤田 雅久
ほら、連れてきたよ!
天馬 海星
天馬 海星
えっ?
藤田 雅久
藤田 雅久
兄ちゃんのことが、好きなんだろ?
藤田 一希
藤田 一希
・・・
天馬 海星
天馬 海星
あ、あの・・・僕
まだ、かず君に、告白する
勇気さえなかった僕は、一気に

顔が、赤くなり恥ずかしさで
心臓が、ドクドクと音をたてた。
藤田 一希
藤田 一希
海星・・・俺のこと
好きなの?
天馬 海星
天馬 海星
えとっ・・・
助けを、求めるように
兄さんの、方を見たが・・・
天馬 蓮斗
天馬 蓮斗
兄さんには、まったくわかって
いなく、首を横に傾げるだけだった。
天馬 海星
天馬 海星
ぼ、僕・・・
そう、口を開きかけたとき
先に、言葉を発したのは、かず
の、方だった・・・
藤田 一希
藤田 一希
海星の事は、好きだけど・・・
顔が・・・
天馬 海星
天馬 海星
か、顔?
藤田 一希
藤田 一希
俺、目が大きい子より
つり目で大人っぽい子が好きなんだ・・・
藤田 一希
藤田 一希
それに、海星の事は、たぶん
この先ずっと・・・弟のようにしか
見れない・・・ゴメン
天馬 海星
天馬 海星
・・・いいよ、べつに
それに、大人になったら、目が
小さくなるし、顔だって・・変わる
天馬 海星
天馬 海星
そしたら、いつか・・・
かず君に、好きになってもらうから
かず君は、かすかに微笑んだけど、
それっきりうんとも、すんとも

言わなかった・・・たぶん
あの時からだ。童顔だった自分の顔を

隠しはじめたのは・・・
まだ、自分から好きだという前に

振られてしまった僕は、心が
トゲトゲで、覆われたような気持ちになった。
そして・・・長い長いトラウマを
思い出していた、僕は、ユサユサと

雅久に、揺さぶられて再び
現実に戻った。
藤田 雅久
藤田 雅久
おーーーい、海星
天馬 海星
天馬 海星
なんだよ、もう・・・
本当に、コイツだけは、僕に
かまってくるんだから・・・

僕は、たいして愛想も良くない
猫被りなのに・・・
藤田 雅久
藤田 雅久
そういえばさあ、俺
肉まん買ってたわ
藤田 雅久
藤田 雅久
食べるか?
リュックから、コンビニの
肉まんを取り出す・・・
天馬 海星
天馬 海星
・・・
藤田 雅久
藤田 雅久
ほら、これ・・・
カプッ・・・

僕は、雅久の持ってる肉まんを
かじった。

そして、もぐもぐと食べた。
藤田 雅久
藤田 雅久
・・・
固まる、雅久・・・
天馬 海星
天馬 海星
普通に、うまいよ・・・
藤田 雅久
藤田 雅久
急に、かぶりつくな!
お前のは、肉まんじゃなくて
ピザマンだったのに・・・
天馬 海星
天馬 海星
はあ?なんだよ
そのこだわり・・・・
藤田 雅久
藤田 雅久
まあ、いいよ
お前だから、特別に許してやる
天馬 海星
天馬 海星
なんだよ、特別にって!?
雅久は、ニイと、笑うと
すました顔で答える。
藤田 雅久
藤田 雅久
俺が、毎日ここに来るのも
お前のわがままに、付き合ってるのも
藤田 雅久
藤田 雅久
お前のことが
好きだからに決まってるだろ?
藤田 雅久
藤田 雅久
じゃなきゃ、とっくに愛想つきて
どっか行ってるよ・・・
天馬 海星
天馬 海星
えっ
ガシャっ・・・

ビックリして、思わず机の上に
置いていた、ペンやノートを

床に落としてしまった・・・・


そして、僕の心臓は、かず君に
告白しようとしてた時より、うるさい音を、
たてていた。

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