俺が、誰かに頼られるなんて
初めてだった。
しっかり者の宙君の方が
いつも、俺の事を、いろいろ気にかけて
くれていたからだ。
俺は、カバンから、スマホを
取り出し、一希に、メールを
打った。内容は、この部屋に来て
ほしいと、いう内容だ。
初めて、宙君に、頼られてる
気が、して嬉しくなる。
それでも、やはり、このまま宙君を
俺の、膝の上で、寝かせてるわけには、
いかない・・・薬や、飲み物を
もらってこなくては・・・
ガチャ
一希は、床にトスんと座り、俺は
うなずいた。
俺は、宙君を見つめ、声かけを
した。
いつも、強気な宙君が
こんなに、弱りはてている姿を
初めて見た・・・素直だし、なんか
一言一言が、胸にささり、ジーンと
温かくなる。
一希に、せかされ、俺は、急いで
保健室に行き、鎮痛剤と、氷枕、
冷えピタなどを、もらった。
本当は、病院に行った方が、いいと
思うけど・・・
まあ、なにもしないよりは、いいよね。
食堂に回り、わけを話して、おかゆを
作ってもらった。
部屋に戻る途中、敦先生に
会った。
敦先生は、ニコっと、笑い
「何かあったら、いつでも呼んで
いいから」と、言って、去ってった。
俺は、その後、大急ぎで自分の部屋に
戻った。
一希は、ぽんと、俺の肩をたたき、
去って行った。
ありがとう・・・一希
さてと・・・
俺は、荷物を下ろし、宙君に
声をかける。
宙君は、フイッと、顔をそらす・・・
やっぱり、昨日のことで
嫌われちゃったのかな・・・でも
サイズ的に、俺のじゃ、ダメだろうし
宙君に、ジャージを着せながら
俺は、質問に答えた。
俺は、宙君に、ジャージを
着せ終わると、クスクスと笑った。
宙君と目が合い、宙君は、少し
顔が赤くなった気がする・・・
何かに照れてるっぽかったけど、
ツンツンしてない宙君は、ますます
可愛いと、思ってしまう。
宙君は、俺のベッドにドサっと
寝転がった。
俺は、おかゆを取り出したり、
ぽ◯りを、コップに注ぎながら、
しゃべる。
俺は、宙君の、体を起こし、おかゆを
渡す。
しかし、宙君は、首を横に振る。
しかし、頑固として、宙君は、おかゆを
食べようとしない・・・しかたない
こういう時は
かわいそうだけど、こうするしか
ないよね・・・
宙君が、涙目になって、俺をにらむ。
プルプルと、肩をふるわせ怒っている
宙君。俺から、スプーンとおかゆを、
奪い、バクバク食べてる姿を見て、
安心する。
はやく、熱下がるといいな・・・
俺は、今日一日、宙君の事を
気にかけながら、夜を過ごした。
薬を飲んだ後は、宙君の表情が、
少し穏やかになり、ホっとした。
宙君のために、何かするのは
嫌じゃなかった。むしろ、俺のした事で
宙君が、喜んでくれるなら
それで良いと、思った。不思議な感覚だ。
俺は、宙君のベッドで、ちょうど、
1時を過ぎたあたりに、うとうとと、
眠りについたのだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。