第14話

初めての看病
317
2019/10/30 12:39
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
熱い・・・
俺が、誰かに頼られるなんて
初めてだった。

しっかり者のそら君の方が
いつも、俺の事を、いろいろ気にかけて
くれていたからだ。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
うーん、ちょっと待ってね
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
俺は、カバンから、スマホを
取り出し、一希かずきに、メールを

打った。内容は、この部屋に来て
ほしいと、いう内容だ。
初めて、そら君に、頼られてる
気が、して嬉しくなる。

それでも、やはり、このまま宙君を
俺の、膝の上で、寝かせてるわけには、

いかない・・・薬や、飲み物を
もらってこなくては・・・
ガチャ
藤田 一希
藤田 一希
よっ、来たぞ・・・・
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
一希・・・先輩
藤田 一希
藤田 一希
状況は、わかった。しばらく、俺が
宙のそばにいれば、いいんだろ?
一希は、床にトスんと座り、俺は
うなずいた。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
ああ、頼むよ。今の、宙君を
1人に、してられないからね
俺は、宙君を見つめ、声かけを
した。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
やっぱり、薬と飲み物、もらって
くるから
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
寝てるだけじゃ、熱は下がらないからね
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
・・・先輩、ありがとうございます
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
・・・
いつも、強気な宙君が
こんなに、弱りはてている姿を

初めて見た・・・素直だし、なんか
一言一言が、胸にささり、ジーンと

温かくなる。
藤田 一希
藤田 一希
なに、ニヤついてんだ。
早く、もらってこいよ
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
あ、うん
一希に、せかされ、俺は、急いで
保健室に行き、鎮痛剤と、氷枕、

冷えピタなどを、もらった。
本当は、病院に行った方が、いいと
思うけど・・・

まあ、なにもしないよりは、いいよね。
食堂に回り、わけを話して、おかゆを
作ってもらった。

部屋に戻る途中、あつし先生に
会った。
根元 淳先生
根元 淳先生
お前、なんだ?その体量の荷物は
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
あっ、えっと、宙君が、熱だして
冷えピタとか、おかゆとか
渡そうと思って。
根元 淳先生
根元 淳先生
えらいな、宙と同じ部屋
なんだっけ?
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
そうですけど・・・
敦先生は、ニコっと、笑い
「何かあったら、いつでも呼んで
いいから」と、言って、去ってった。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
あっ、急がないと
俺は、その後、大急ぎで自分の部屋に
戻った。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
ただいま!
藤田 一希
藤田 一希
お帰りー、じゃ、俺、部屋戻るな?
たくさんいても、邪魔だろ
一希は、ぽんと、俺の肩をたたき、
去って行った。

ありがとう・・・一希

さてと・・・

俺は、荷物を下ろし、宙君に
声をかける。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
今日一日、俺が宙君の面倒みるから
何でも言っていいからね
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
そんな・・・悪いです・・
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
いいから、いつも、俺の事
世話してくれてる、お礼・・・・
宙君は、フイッと、顔をそらす・・・
やっぱり、昨日のことで

嫌われちゃったのかな・・・でも
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
俺、頑張るから!
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
先輩・・・
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
じゃあ、まず、汗拭くから
服交換しよう?
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
えーっと、弟にあげるように
とっといた、ジャージがあるから
それにしよう・・・
サイズ的に、俺のじゃ、ダメだろうし
宙君に、ジャージを着せながら
俺は、質問に答えた。
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
天馬てんま先輩って、弟いた
んですか?
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
あれ?言ってなかったっけ
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
聞いてないですよ・・・それに
天馬先輩って、一人っ子ぽいし
俺は、宙君に、ジャージを
着せ終わると、クスクスと笑った。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
え〜、俺、一人っ子に見える?
まあ、頼りないのは、確かだけど
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
これでも、いちを、兄です・・・
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
お兄さん・・・・
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
宙君と目が合い、宙君は、少し
顔が赤くなった気がする・・・

何かに照れてるっぽかったけど、
ツンツンしてない宙君は、ますます

可愛いと、思ってしまう。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
今日は、俺のベッドで、寝なよ
階段登の、キツイでしょ?
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
・・・天馬先輩、今日は
なんだか、しっかりしてますね
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
何?急に・・・
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
なんでもないです・・・
宙君は、俺のベッドにドサっと
寝転がった。
俺は、おかゆを取り出したり、
ぽ◯りを、コップに注ぎながら、
しゃべる。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
いつも、しっかりしてるでしょ?
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
・・・どうですかね
俺は、宙君の、体を起こし、おかゆを
渡す。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
これ、食堂のおばさんに言って
作って、もらったんだ。食べな
しかし、宙君は、首を横に振る。
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
い、今は、食べたくないです・・・
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
でも、何か食べないと、薬飲めないよ?
しかし、頑固として、宙君は、おかゆを
食べようとしない・・・しかたない

こういう時は
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
ほら、宙君、口開けて?あーん
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
ちょっ!天馬・・・モグ
かわいそうだけど、こうするしか
ないよね・・・
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
ほら、もう一口
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
てん・・・モグ、モグ・・・
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
ゴクリ・・・
宙君が、涙目になって、俺をにらむ。
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
もう、自分で食べれますから!
プルプルと、肩をふるわせ怒っている
宙君。俺から、スプーンとおかゆを、

奪い、バクバク食べてる姿を見て、
安心する。
はやく、熱下がるといいな・・・

俺は、今日一日、宙君の事を
気にかけながら、夜を過ごした。

薬を飲んだ後は、宙君の表情が、
少し穏やかになり、ホっとした。

宙君のために、何かするのは
嫌じゃなかった。むしろ、俺のした事で

宙君が、喜んでくれるなら
それで良いと、思った。不思議な感覚だ。

俺は、宙君のベッドで、ちょうど、
1時を過ぎたあたりに、うとうとと、

眠りについたのだった。

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