第17話

宙君は、可愛い
297
2019/11/04 13:51
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
でっ、俺から話していいですか?
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
あっ、うん、どうぞ
そら君は、「オホン」と
咳払いをして、話を始めた。
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
つまり、本当は、俺、ファースト
キスだったんです。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
ん?
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
俺のファーストキスは、初めての
彼女か、アイドルの〇ーりんに
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
あげるって、決めてたんですよ・・・
ハハハ、まっ、もう無理ですケドネ
最後の方が、棒読みになっていた
事は、置いといて・・・

宙君は、意外に気にするタイプだった。
知らなかった。

さっきまで「気にしてないです」と
言ってたのは、本当は、嘘で

かなり、傷ついてるようだ。
本当に申し訳ないよ。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
宙君・・・俺も、ファーストキスだよ
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
・・・
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
・・・・
こんな事言って、ますます空気が
悪くなる・・・・

俺は、バカか・・バカだな。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
ゴメン、本当に・・・
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
まあ、それは、いいですけど
さっき、かなり考え込んでましたよね?
5分くらい・・・
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
えっ?そうだっけ
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
しかも、話の途中に
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
・・・
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
何考えてたか、教えてくれますよね?
逃げないって、決めましたもんね?
いちいち、宙君の言葉が
グサグサと、心臓に刺さる・・・

逃げ場は、ない・・・言うしかないよね
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
俺・・・宙君のこと、可愛いって
思ってたんだ
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
はああああ!?
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
急に、立ち上がった宙君は
かなり、驚いた表情をしている
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
先輩ホモだったんですか?
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
・・・ホモじゃないよ
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
本当ですか
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
だって、今まで男を可愛いなんて
思ったことないし・・・
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
宙君が、初めてだよ。
初めて、宙君だけは、可愛いって
思っちゃったんだ。
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
いいいいい・・・!!!!
宙君に、気持ち悪がられると
思った。

しかし、宙君は、「あわわ」と
騒いでいるだけで、俺への見方を変えるとか

そういう事は、してこなかった。
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
可愛い?俺、男ですよ?
先輩が好きなのは、美少女アニメキャラ
でしょ?
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
しっ・・・知ってるんですよ?
先輩のベッドで寝た時、マリンちゃん
の抱き枕だらけだったから

(マリンちゃんとは、天馬先輩が
好きな美少女アニメキャラである)
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
だって、俺マリンちゃん推しだもん
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
ハア、俺とマリンちゃん、一緒な
わけないでしょ?
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
身長チビだからって、女子の代わりとか
だったら、俺嫌で・・・
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
女の子の代わりとか、身長とか
関係ない
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
わかんないけど、宙君の俺への
お節介とか、気配りとか
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
なんか、いつも一生懸命な
とこが好きかも
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
・・・・・・・・・
宙君の、顔がボンっと、赤くなる。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
俺自身、無意識に感じてた事
だから、あまり深く考えてなかった。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
俺なんかに、可愛いなんて
言われて、気持ち悪いよね
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
あの、さっきから、その
可愛いって、どういう意味ですか?
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
えっ?可愛いは、可愛いだよ
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
なんで、可愛い=俺とキスに
なるんですか!?
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
そんなの、宙君に・・・
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
俺に?
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
わかんない、可愛い=好き
かもしれない
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
えっ
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
あれ?
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
天馬先輩って、本当変わって
ますよね
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
まったく、俺なんかの
どこがいいんすか?
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
口うるさいとこ?
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
生意気なとこ?
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
全部・・・可愛いよ
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
////・・・クソっ
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
なんで、真顔で言えるんだよ
クルッと、宙君は、俺の方向に
体を向けると、俺の首元の方を

グイッと、引っ張った。

そして、宙君が、俺に
優しくキスをした。
チュっ
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
!!
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
今度は、覚えてますか?
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
なんで・・・・
へなへなと、体の力が抜ける。

頭で?のマークで溢れている。

桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
先輩が好きだって言ったんでしょ?
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
そ、そうだけど
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
俺しか、天馬先輩に答えて
あげられないから
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
初めて俺の事、好きになってくれたのは
先輩ですから・・・だから
宙君は、耳まで赤くして
フイッと、横を向いた。
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
キスした事、俺のこと可愛い好きって
言った責任とってくださいね。
その言葉を聞いて、俺は嬉しくなる。

宙君に、そんな事を言われるなんて
変な感じだ・・・説明できないけど
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
とる・・・責任とるよ
宙君は、俺に手を差し出してきた。

俺は、「よろしく」と

手を握り返した。

天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
あの、宙君は、その、やっぱり
嫌じゃなかった?
俺と宙君は、現在食堂で、
夜ご飯を食べていた。
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
嫌?
ズズズと、ラーメンをすすりながら
宙君が、首を傾げる。
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
なんか、俺だけ天馬先輩のこと
意識してたんじゃなくて、安心は
しましたね・・・モグモグ
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
へ〜、宙君、俺のこと、意識なんて
しててくれたんだ?
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
先輩、俺、チビですけど
先輩より強いと思いますよ?
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
何が?
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
・・・・何もかもです
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
よくわからないけど、まあ
俺は、今幸せかも・・・

でも、宙君からは、「好き」って、
まだ言ってもらえてないな・・・

そんな事は、よくばりなのだろうか。
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
先輩・・・・さっきから
視線が気になって、ラーメンに集中
できないです
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
わっ、ごめん
浮かれてるのは、俺だけだよね

ヤバイ、ガン見してたとか、
よくないよね・・・
藤田 一希
藤田 一希
なんだ?今日は、珍しく2人で
夜飯ですか〜?
食器を片付け終わった一希かずきが、
俺たちを見つけて、かまいに来た。
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
うん、まーね
藤田 一希
藤田 一希
おっ、天馬、めずらしく
ニンジン全部食べたのか?えらいえらい
ガシガシと、一希に頭をなでられ
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
ちょっ、やめてよ
と、抵抗する。
桐ヶ谷  宙
桐ヶ谷 宙
そのニンジン食べたの、俺です
けど
宙君が、ツーンとすました顔で
答える。
藤田 一希
藤田 一希
やはりな、天馬が、食べたとは
俺自身思ってなかったんだよ
天馬  蓮斗
天馬 蓮斗
ちょっ、さっきと、言ってること
違くない!?
夜・・・

俺は、自分のベッドでマリンちゃんの
フィギュアに「おやすみ」と、言って

布団を被る。

しかし、すぐに宙君にキスされた事を
思い出して、なかなか眠れない。

思い出すと、すぐに体が熱くなり
心臓がうるさくなる・・・・

たぶん、宙君も、こんな感じだったのかな。

静かに、自分のうるさい心臓を
おさえながら、俺は、眠った。

プリ小説オーディオドラマ