スッ
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私は今赤い橋の上にいる。
自分のスマホを握りながら、座っている。
なぜずっと握らなきゃいけないのか疑問だが、とりあえず言うとおりにしとく。
高い柱の上にいるからか特に星がキレイだった。
曇りもなく、明るい月が私を照らしていた。
そこにいつくかの足音。
振り向かなくてもわかる。この足音は····
七人の使者だ。
ここでやっとスマホをずっと握ってろという意味が分かった。
つまり、「七人の使者が来たら連絡しろ。」そういうことだったのね。
そして足音が真後ろで止まった。
ピッ
さり気なく綾乃に電話を掛ける。
振り向かず答える。
少し泣きそうな声で言われて、心が振り返ってしまった。もう振り向かないって決めたのに。
怒りの声も聞こえる。
電話が繋がると同時に立ち上がる。
ひょこっと田中の背中から悲しげな顔で出てきた。
ふと、いつの間にか振り返ってしまっていた事に気がつく。
深呼吸をし、心の言葉をはいた。
スッ
フラッ スタッ クルッ
タッタッタッタッタ
スタッ
ヒュー
ガシッ
スッ
パラパラ
パチン!
ヒュンヒュン!
ヒュン
カキン!
カキンカキン!
スタッ
カキン!
スッ
タタタ!
タ!
ブツ!ツーツーツー
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その数時間前、綾乃たちは···
私は今、彩香さんに落とされたことのあるビルの上にいます。
マジ許さねーあいつ。
ポイッ!
パシッ
プシュ
プシュ
スッ
スッ
トン
なぜかその言葉に懐かしさを感じた。
トゥルルル
ザーザーざー
グググッ
私は初めて見たかもしれない。
あんな、あの二人が殺意、狂喜、狂気に満ちた顔を。
[続く。]
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。