第4話

ヤンキーを心配する爆豪
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2019/04/21 12:15
カチン、ライターの火をつける音が鳴って、私の煙草に赤がつく。吐き出した白煙の向こうには不機嫌に顔を歪める爆豪。


「臭ぇ」

「ふふ、それよりいーの、ヒーロー志望がこんな所にいて」

「良くねぇ。やめろ」


そう言って私の煙草を奪い取って地面に捨て足で床に擦り付ける、火の消えたそれを見てあーあと零し笑う。


「相変わらずだね、爆豪」

「テメーもな」


爆豪とは中学からの付き合いで、というか悪友だ。私は世間で言うヤンキーの部類に入る人間で、そういうヤツらの集まりのなかに爆豪もいた。(とは言っても雄英合格のために内申に関わるようなことはしなかったしあまり表立って一緒にいることは無かったけど)爆豪は特に波長が合うから一緒にいて楽だった、それは今も変わらないようで。コンビニでたまたま会って近くの公園で爆豪はアイス片手に一緒にいる。(特に何をする訳でもなく、だけれど苦じゃないからやっぱり昔と変わらない。)


「雄英どうなの?合格報告くれなかったから落ちたかと思ってたよ」

「何で一々言わなきゃなんねぇんだお前も言わなかったろ」

「あ、それで拗ねてたの?可愛いとこあんね」

「は?ちげーわカス。今何してンだどーせくだんねぇこと続けてんだろ」

「今ねぇ…そうだね、フツーの高校生活だよ。サボってばっかだけど、たまに行っては先生に嫌な顔されてるよ」

「メシは」

「昔よりは食べてるよ」

「………」


黙ったと思えばコンビニ袋の中をガサガサと漁ってさっき買ったらしい菓子パンを渡してきた。そういうところも変わってない、テキトーに生きてる私を放っているように見えて少しずつ修正しようとする。知らないふりを続けているけど。


「えー、いいよ。煙草買いに来ただけだし」

「じゃあお前んち行くぞ、行って飯作る」

「あは、それいいね。久しぶりに爆豪飯食べたい」


へらりと笑って手を取る、地面に伸びた影を歩きながら見る、随分と逞しくなった爆豪と自分のそれは完全に男女だった。(昔から人より筋肉はある方だったけど)おっきくなったねえ、言えば「当たり前だ」って返された。私ばかり小さいままだ。

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