次は、物理だ。
だから、移動である。
桃鳥さんには、結構ドジな一面がある。
そんな中、チャイムは刻一刻と迫ってきている。
そんな時、焦りのせいか、桃鳥さんが自分の机を派手に倒してしまった。
焦りを露わにする桃鳥さん。
それでも、作り笑いはしつこくついてくる。
気づいた時には、桃鳥さんに歩み寄って声を掛けていた。
自分でも驚きだった。
女の子に、こんな自然に話しかけれるなんて。
覚えていてくれた。
俺は影が薄い方だから、忘れられてることもあるのに。
そう話しつつも、机と、机から飛び出した教科書類を戻していく。
物理の前の休み時間。
俺は、やっとキミに近づけた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!