You side.
気がつくと寝ていたみたい。
もう朝です。
時刻は5:30
早い、早すぎるよ私。
あなた「も、もっかい寝よ…」
遅刻癖がとれない私は普段こんな時間には絶対に絶対に起きないし、起きたこともない。
……
ああぁ…寝れないぃ…
あなた「…まだ昨日のこと考えてるからこんな時間に起きるんだって…」
無理やり目を瞑る。
……
レトルト「また、会えるかな」
あなた「会えますよ、きっと。
もしかしたら、明日かもしれませんね」
レトルト「なんやそれ笑
…ありがとう」
レトルト「あ、じゃああと少しだけ」
あなた「なんですか?」
レトルト「名前、教えてや」
あなた「桜空あなたっていいます
…じゃあ、また明日。」
レトルト「あなた…いい名前やね!
…うん、また、明日。」
……
眠ろうと思えば思うほどに鮮明に甦る昨日の朝の出来事。
あなた「……っ…しかたない…起きるかな…」
そういって、いつもより念入りに準備なんてしちゃってる私。
まだ昨日の言葉を期待してる自分がいるみたいです。
よし。準備完了っと…
現在6:35…行くか、大学…
なんでこんなに緊張してるのかなんて分かりきっていたけど、気づかないふりをした。
だって、考えて後悔するのは私だけだから…
あなた「い、行ってきます…」
誰に言うまでもなく、その不安そうな言葉は消えていった。
Rt side.
なんとか実況撮って、気づいたらそのまま机に突っ伏して寝てしまったようだった。
時間は…5:00…かぁ…
レトルト「早すぎないか…」
少なくとも日付が変わる頃までは編集してたはずだから…まだ4時間しか寝れてない…のか
レトルト「寝よか…」
改めて布団に潜ろうと思って気付く。
俺、風呂入ってなくね?
いつもなら後ででいいやと布団に直行してたのだが、今日の俺は違った。
レトルト「風呂行かな…」
……
レトルト「っはぁ〜…目…覚めちゃったな…」
なんだかんだで風呂に入っしまったので、とりあえず濡れた髪を乾かす。
無意識にいつもより丁寧に髪を乾かしながら気づけば昨日のことを思い出していた。
……
レトルト「また、会えるかな」
あなた「会えますよ、きっと。
もしかしたら、明日かもしれませんね」
レトルト「なんやそれ笑
…ありがとう」
レトルト「あ、じゃああと少しだけ」
あなた「なんですか?」
レトルト「名前、教えてや」
あなた「桜空あなたっていいます
…じゃあ、また明日。」
レトルト「あなた…いい名前やね!
…うん、また、明日。」
……
もう俺は彼女のことが頭から離れないらしい。
きっと、こんな想いを抱いても後悔するのは俺だけなのに…
今は…6:40か…行ってみるか…
でも何もしてないで行くと不審がられそうなのでポケリンGO(ネーミングセンス再び)を起動させて家をでた。
昨日までは暖かった風が、今日はなんだか冷たい気がした。
…………
レトルト「予想より早く着きすぎた気がする…」
普通に歩いてきたはずなのにまだ6:45。
レトルト「やっぱりこんなことしてるのっておかしいんかな…」
やっぱ帰ろう、そう思っていたら。
あなた「…あの!」
俺は反射的に振り返ってしまった。
あなた「来てくれた、んですか…?」
…やっぱり可愛ええなぁ…なんて思ってしまう
レトルト「うん…まぁ明日もって言うてくれたし…」
あなた「覚えててくれたんですね…なんか、嬉しいです」
忘れるわけないでしょ、なんて言えるはずがなかった。
レトルト「まぁ…ね」
…………
気まずい沈黙が流れる。
こういうときはいっつもキヨくんがどうにかしてくれてた。
キヨくんならどうする……考えろ、俺……
レトルト「あのs」
あなた「そうi」
ああぁ被った…!?
これやらかしたやつやん…キヨくんならどうするとか考えるんやなかった…
関係ないのにキヨくんを恨む。
レトルト「…先、ええよ?」
絞りだせて言えたのはこれだけだった。
あなた「なんか…すみません……えっと…その、また来てくださったっていうのはすんごく、嬉しいんですけど…ただの1人の視聴者、なのに…私なんかとお話して大丈夫なんですか…?」
飛んできた質問の声はふるえていて。
俺は思わず言ってしまった。
レトルト「確かにほかの視聴者さんに申し訳ないかもしれない。でも、俺と話したからってあなたちゃんが悪いわけやないし、罪悪感も責任感も、負わなくてええんやで…?」
何を言ってしまったのか、正直まだ理解出来ていなかった。
ただ1つだけわかるのは、あなたちゃんが安心してくれたことと、こんな顔も可愛いなんて思ってしまったことだ。
あなた「レトさんが…あっ…レトルトさんがそう言ってくれるなら私も安心です…」
昨日は普通に「レトさん」って呼んでくれたのに…なんて思ってしまう…だけでなく、
言葉とは罪なもので。
レトルト「俺のことは気にせんでええから!それと、レトさんって呼んでもらってええよ。俺も…さっきは勝手にあなたちゃんって呼んじゃったけど嫌なら言ってな?」
でも今思えば年下にいきなりちゃんはないだろ俺…ドン引きされたかな…
あなた「あ、ありがとうございます…!ふふっ…笑 私はちゃん付けで呼んでもらって嬉しかったですよ」
う、うれ…?
この子、今とんでもないこと言わんかった…?
あなた「…あ…そろそろ行かないと…」
レトルト「え、もうそんな時間なん」
咄嗟にでてしまった。
寂しい、なんて…思ってない…のに胸の辺りに小さな穴が空いてしまったようにスースーしている。
あなた「すみません…今日は大学休めないので……
あ、あのっ…また明日、時間あったらでいいので…少しだけお話、しませんか…?」
レトルト「んえ…?」
彼女から俺にまた話したいと言ってくれたのだろうか。
また話したい…??
その言葉の意味を理解すると同時に俺の全身は湯気がでそうになるほど熱くなり、むせてしまった。
あなた「え!?だ、大丈夫ですか!?」
レトルト「だ、大丈夫…ちょっと咳き込んだだけやよ。明日ね、もちろんええよ。」
まだ動悸は収まらなかったが、なんとか返事をすることができた。
あなた「大丈夫そうじゃないですけど…無理はしないでくださいね…?」
レトルト「うん。ありがとう」
あなた「…それじゃ、今日も動画…楽しみに待ってます…!」
その言葉が嬉しくて、俺もなにか返そうと思って口を開けた。
が、出てきた言葉はそれとは逆で。
レトルト「あっ、やっぱ待って!」
あなた「…?」
不思議そうに振り向く彼女。
俺の想いは止まることを知らなかった。
レトルト「あのさ…」
もう後戻りは、できない。
でも、それでいいと思ってしまった。
だって
レトルト「俺、あなたちゃんのこと、好きやわ」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!