第37話

君と出会って知ったこと
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2025/11/19 08:04 更新



(どどどど、どうしよう……)


私が働く昼間のカフェ。

お客さんには、
何も変わらない日常に見えてるはず。


でも、働いている私は
内心ずっと焦っていた。

それはもう、とてつもなく。


寂しさをこじらせて、
千空の部屋から飛び出したのは数日前。


追いかけてきてくれなかったことも
連絡が来なかったことも、

どこかで期待してしまってた分だけ、
余計に堪えた。


けど、
冷静になってみれば……


(……いや、何あの態度。
千空の言葉を借りれば"非合理的"ってやつ……)


千空の嫌う行動、まっしぐらじゃん。
ほんと何やってんの、私。


数日、連絡は一切とってない。


LINEのトークを何度も開いては閉じて、
" ごめん "の一言すら送れずに、
ただ時間ばかりが過ぎてった。


(……あー、なんか……考えすぎて、
頭も痛いし、ぼーっとしてきた……)


目の前のマグカップの縁も、
歪んで見える。


……ん?歪んで?





「……うん、37.8度。今日はもう帰ろうね」

「す、すみません……忙しいのに……」

「こういうのは仕方ないよ。
ゆっくり休んで、
また"いつものあなたちゃん"で帰っておいで」


店長に優しく言われて、
私は仕事を早退した。


病院で薬をもらって、家に帰る途中。


熱のせいなのか、
それとも気持ちのせいなのか。

胸のあたりがずっと苦しくて、
なんだか涙が出そうになった。



❁⃘*.゚ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ❁⃘*.゚

*side 千空




「……か、帰るね」


ただ、それだけ言って
あなたは出て行った。


パタン、とドアが閉まる音。
そのあとの静けさ。

残されたのは、
俺と、言いようのない胸のざわつき。


喧嘩ってほどでもない。
強い口調で言い合ったわけでもねぇ。
ひどいことを言った記憶もない。


ただ、最後のあの一言。


「……なんかさ、私たちって、
"邪魔しない程度"に会ってる感じだよね」


(いや、そんなこと思ってねぇし)


邪魔とかどうとか思ったことは一度もない。


そもそも何がきっかけだった?
最近会えてなかったからか?

……他に変化はねぇ。
消去法で、それしかねぇか。


それに、思い返せば
付き合いはじめたばかりの頃。

" 会う時間を作る "って発想が
俺にまだなかった時、

あなたは同じように様子を変えて
突然帰ろうとしたことがあった。


……感情と思考でいっぱいになったとき、
あいつは黙って
その場から"逃げる"選択をする癖がある。


(……まさか、あれと同じか?)


追いかけるべきか?


いや、もしかしたらあれは
冷静になる時間が欲しいってことかもしれない。

だとすれば、今無理に踏み込めば
余計にあなたを追い詰めてしまう可能性もある。


(……まぁ、時間が経てば戻るだろ)


そのうち、

"おはよー" とか "仕事終わった〜" とか、
いつもみたいにLINEが来るはず。




……だが、それは来なかった。


次の日も。
その次の日も。


(あー……なんか、ミスったかこれ)


仕事の合間。
頭をかきながらスマホを手に取る。
トーク画面を開いて、文字を打っては消す。


" 悪かった "
" 元気か? "
" 大丈夫か? "


どれも違ぇな……


「……クソ、めんどくせぇ」


" 起きてるか? "


結局送ったのは、
どうとでも取れる一文だった。


けれど、
それすら次の日になっても未読のまま。


(つーか……生きてんのか、あいつ)


冗談じゃなく、
少しだけマジで思った。


前までだったら、
1日どころか数時間で
" ごめん寝てた! "とかなんとな
LINEが飛んできてたのに。


……いちいちこんなことで気を揉むなんて、
あなたと出会う前は考えたこともなかった。


(ただの連絡ひとつに振り回されてんのは
バカみてぇだな……)


……生存確認、しに行くか


机の上の仕事をざっとまとめて片づける。
最低限の作業だけ残して、データを保存。

クロムに今日はもう出る、と告げて
俺はラボを後にした。



❁⃘*.゚ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ❁⃘*.゚


あなたが前にも帰ろうとしたのは
19話のことですね🙂‍↕️
千空的にはあなたを思って追いかけなかったという選択ミス。
付き合って数ヶ月、乙女心がまだわからない千空先生なのでした。

🐰
  Thank you 🔦  
  この小説とは関係ないけど、プロフィールのところに
ヒロアカって書かれてて勝手に嬉しくなったのは
私です🫶🏻

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