小学校の頃。
親友との学校の帰り道。
私は小さい頃から歌うことが大好きだった。
その日も歌いながら帰っていた。
ふと、親友の加藤里歩が笑いながら言ってきた。
「春歌ってさ、音痴だよね(笑)」
その一言に私は傷ついた。
里歩は悪気がなかったのかもしれない。
私にとって歌うことは特別な事だった。
だから、尚更辛かった。
それ以来、私は人前で歌うことを拒絶するようになった。
もう、否定されたくない。
歌うと笑われる。
また、音痴だと言われるかもしれない。
家族とカラオケに行っても、友達に誘われても私は一曲も歌うことはなくなった。
「俺のピアノには三河の方が絶対相性がいい。」
君にそう言われ、私がどれだけ嬉しかったかその言葉にどれだけ救われたのか君は知る由もないだろうね。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。