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第2話

ー君の歌声。ー
高校に入ると里歩は合唱部にスカウトされそのまま入部することになった。


里歩は高音低音も自由自在に操り多くの人を魅了してきた。

「いいなぁ…。羨ましい…」

一方の私は、帰宅部。
放課後、毎日教室で里歩が部活を終わるのを待っている。
この待ち時間が何気に私は好きだ。

♪♪~…

あ!
合唱部だ!

よく聞こえるよう、私は教室のベランダに出た。

『あの日の記憶 忘れない 希望の光 閉じ込めて
前を向いて ひたすらに…』


この歌詞、ほんとにいいよね…
歌声も揃ってて綺麗…
里歩の歌声は一際美しく聞こえた。


私は窓から教室を見渡した。
「よし。誰もいないね?」

声量に気をつけながら私は合唱部の歌声にハモリ出した。


そう。
これが私が一番好きな時間。

一人で誰にも聞かれることなく歌う。
この時間が堪らなく好きなんだ。



「三河…何してんの?わざわざベランダに出て歌って。」


気がつくと窓から同じクラスの澤藤岬が顔を出していた。

その瞬間、顔が熱くなったのが自分でも分かった。


「う、歌ってないよっ!た、ただベランダに出て合唱部の歌聞いてただけ!」

私がそう言うと澤藤は笑った。

「なんでそんな焦ってんの?あとそこ…」

指さされた方を見ると開いた窓があった。

あ!閉め忘れた!
馬鹿だ馬鹿だ!
絶対聴かれた!


よし、逃げよう。
恥ずかしいし笑われるかも。
あの日の記憶が蘇る。


笑われた屈辱。
好きなものを否定され喉の奥がキュッとする感覚。

もう、いい加減忘れたと思ってたのに。

簡単には無くならなかった。

急いでベランダを出て、カバンを掴んだ。


「おいっ!ちょっと待って!」

澤藤はそう言い、私の腕を掴んだ。


「な、何?」


「いきなりで悪いんだけどちょっと、聞いて欲しいことがあるんだよね。」






「で、何?」
私は自分の席に座った。
澤藤は私の前の席に座り始め話し始めた。



「俺、小さい頃からピアノ習ってんだけどさ…」

「え!ピアノ弾けんの?すごっ!」

「そんな凄いもんじゃないんだけどね。で、オリジナルで作曲してんだけどピアノの先生からその曲でコンクールに出てみないかって言われて。
でも、そのコンクールの絶対条件が作詞と歌い手必須なんだよ。作詞は自分で出来るんだけどね…」

「へぇ…。すごいじゃん!歌い手は?見つかった?」



「……………。」


「澤藤?」

「その、聞いて欲しい本題が…そのコンクールに一緒に出てくれないかってことなんだよね…。」


「え、私が?何のために?」

「…歌い手として?」


「「…………………。」」


「なんで私!?無理無理無理!絶対、恥かくし恥かかせるよ!?」


澤藤は正面から私の顔を真剣な顔で見てきた。

「俺のピアノには三河の歌声じゃないとバランスが崩れるんだ。」


「だ、だって私…音痴だよ!?」


「音痴?さっき聴いた限りそんなことないから、お願い!」

「っ。責任は負わないよ?失敗するよ?…それでもいいなら…。」

「ほんとか?ありがとう!早速明日から始めるからとりあえず、連絡先交換しよう。」

言われるまま制服のポケットから取りだしLINEのIDを交換した。


「あれ?春歌、澤藤と何してんの?」

里歩は部活が終わったのか教室に来た。

気づいたらもう三十分も経っていた。

「ううん。たまたま会っただけ。里歩帰ろ!」

さっきの話は、里歩には言えない。
いや。
言いたくなかった。





その日の夜に澤藤からLINEがきた。


”明日の放課後、昇降口集合!”

私は”了解。”
と返信した。





そっか放課後、里歩とは帰れないや…。
里歩にもLINEしないと。
”家の事情でしばらくは一緒に帰れない。ごめんね?”

”うん。分かった!大丈夫!”

可愛いトイプードルのスタンプと共にそんな文が送られてきた。

明日からか…
やるからには頑張ろう!