俺には赤ちゃんの頃からずっと一緒だった
幼馴染の真理亜がいた。
親同士の仲が良いことがきっかけで、
初めて歩いた時も、乳歯が抜けた時も、何をするのも一緒だった。
家族としては少し遠く、兄妹でもない親しい関係。
なんとなく、この先ずっと一緒に大人になっていくと
信じて疑わなかった。
そして小学生になった頃、俺が抱えるこの気持ちが
「恋心」であると気づいた。
だけど、真理亜は幼い頃から病弱で、
自分の気持ちに気づいた時には長い闘病生活へと入っていった。
もちろん、苦しむ真理亜に俺の気持ちなんて伝えられるはずもない。
いつか治ることを信じて、
俺はできる限りお見舞いに行くことしかできなかった。
そして小学6年の夏、別れが突然やってくる。
いや、むしろここまで耐えたことが
奇跡だったのかもしれない。
真理亜は優しく微笑んで、
俺に不恰好なミサンガをくれた。
手も自由に動かせなくなっていたはずなのに、
必死で俺のために編んでくれたのだろう。
それが、彼女の最後の言葉だった。
そして俺は真理亜が死んでから初めて、
自分の気持ちを伝えられなかったことを後悔する。
もっと真理亜に向き合っていれば、
大事にできていれば、何か違ったのかもしれない。
もっと、もっと……。
俺はあまりにも幼くて、無力だった。
真理亜のいない世界は、
まるでモノクロになったように色を失った。
あの日から、真理亜からもらったミサンガを肌身離さずつけている。
これさえつけていれば、真理亜はきっと俺のことを
見つけて、見守ってくれているだろうから。
普段なら友達にだって言えない俺だけの秘密だった。
目の前にいる鷹宮、いや正確に言えば大羽さんには、
不思議と話していた。
そう言って微笑んだ鷹宮の顔が、少しだけ大羽さんとダブって見えた。
見守ってくれていた、そう思うとなぜか自然と涙が溢れた。
その感謝の言葉は、
誰に向けたものなのかは自分でもわからなかった。
















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。