私たち一行は、鷹宮悠馬の実家に無事到着した。
閑静な住宅街の一角に、綺麗な一軒家が立っている。
ピンポーン。
実家なのにまるで他人の家のように
インターホンを鳴らした。
ガチャリとドアを開けて出てきたのは、
どうやら母親だろう。
「おかえり」の一言もないことに、
なぜだか無性に腹が立つ。
まじまじと阿部くんとシゲさんを見た彼女は、
少し顔を歪めて家の中へと案内した。
リビングでは父親と弟がテレビゲームを楽しんでいた。
久しぶりに帰った兄には目もくれず、
テレビ画面に夢中になっている。
そのまま特に会話もなく、
私たちは鷹宮悠馬の部屋に向かった。
そう言って、悲しげに笑う。
どうやらこの部屋にあるのは弟の荷物ばかりで、
鷹宮悠馬が使っていた家具はほとんど何も残っていないらしい。
呆れたように返事を返し、
キッチンへと消えていく鷹宮悠馬。
私たちは何も言えず、そんな姿を呆然と見送ることしかできなかった。
———そして夕飯時。
鷹宮一家と、阿部くんとシゲさんは夕飯を囲んでいた。
シゲさんが助け舟を出したが、
両親はそれ以降黙り込んでしまった。
私はその光景に徐々に怒りが湧き上がってくる。
そんな冷え切った場の空気に耐えかねて、シゲさんが本題を切り出す。
目当ての場所について聞き出すことができた。
しかし、母親は訝しげに眉を寄せる。
私はなんだかとても腹が立って、
いても立ってもいられなくなってしまう。
私はわざとテレビの電源をぽちぽちと押してポルターガイストを起こした。
突然テレビがついたり消えたりしはじめ、
母親が悲鳴をあげた。
慌てふためく両親を見て、
鷹宮悠馬はぷっと小さく吹き出した。
小さく私にそう言いながらも、
ケラケラと楽しそうに笑っている。
それはこの家に帰ってきてから、初めての笑顔だった。
———そしてその夜。
客間で布団を敷いて雑魚寝をする一行。
もちろん、自分の部屋が物置になっていた鷹宮悠馬も
阿部くんとシゲさんに並んで眠ることになった。
シゲさんは豪快にイビキをかき始め、
阿部くんもすぐに寝息を立てはじめた。
マリア様も阿部くんの上で目を閉じて浮遊している。
だけど鷹宮悠馬はなかなか眠れないのか、
何度も寝返りを打っている。
鷹宮悠馬はごろんと寝返りを打って、
静かに話し始めた。


















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。