第6話

嫌いなアイツの守護霊に!?
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2026/06/01 09:00 更新

 体勢を整えた私たちは、改めて向かい合った。
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
こんなこと頼むのは変だと思うんだけどさ
俺の守護霊になってくれない?
大羽 圭子
大羽 圭子
え……?
守護霊!?
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
俺、さっきみたいな悪霊を
引き寄せる特殊な体質なんだ
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
それに加えて幽霊とかオバケとか
この世ならざるものが
ガッツリ見えるタイプだから
困ってんだよな
大羽 圭子
大羽 圭子
いつから見えるようになったの?
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
あ〜、小学生の頃だっけ?
見えるようになったきっかけは
ハッキリしてるんだけど……
そんなことより俺を守ってくれ!
頼む!この通りだ!
両手を顔の前で合わせて必死にお願いされると、
こちらも悪い気はしない。

それに悪霊へのあの反応を見る限り、
オバケの類がとても苦手なのだろう。
大羽 圭子
大羽 圭子
オバケが怖いんだ?
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
うっ……そ、そうだよ!
わりーかよ!
こう見えて俺は
めちゃくちゃ怖がりなの!
恥ずかしそうにそう言った鷹宮悠馬は、
意外なことを語り始めた。

鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
去年、俺とあんたが委員会で
放課後一緒になったこと覚えてるか?
大羽 圭子
大羽 圭子
あ、はい。
勝手に作業押し付けて
帰ってった件なら……
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
は?そうじゃねーだろ!
俺、あんたの前で半べそかいて
みっともない姿を晒しただろ!
大羽 圭子
大羽 圭子
え…?そうだっけ
なんか嫌な奴だったな〜
としか覚えてないです
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
嘘だろ……ちゃんと思い出せって!
——————
———


——高校1年のとある放課後。

 私は隣のクラスの鷹宮悠馬と、初めて顔を合わせた。

保健委員として、先生から保健だよりを
ホッチキスで止める作業を頼まれたからだ。

早めに集合場所の空き教室で待っていると、
少し遅れて鷹宮悠馬がやってきた。
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
わりーわりー
遅れた〜〜って、あれ?
誰もいない?
大羽 圭子
大羽 圭子
ここにいますけど
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
……っ!?
で、で……
大羽 圭子
大羽 圭子
で?
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
でたぁあああーー!!く、くるな!
大羽 圭子
大羽 圭子
はあ?
そう私、大羽圭子はもとより影が薄いのだ。
オバケ扱いされることなんて、いつものことだった。
大羽 圭子
大羽 圭子
えっと……ごめんなさい
別に驚かそうと思ったわけじゃなくて……
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
や、やめろ……それ以上近づくな!
俺に何か恨みでもあるのか!?
目に涙を溜めて、震える鷹宮悠馬。
大羽 圭子
大羽 圭子
あの、何か勘違いしてると思うんですけど……
私人間ですよ?
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
は?
ゆっくりと立ち上がった鷹宮悠馬は、真っ青だった顔色をみるみる赤く染めた。
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
このこと誰かに言ったら、ぶっ殺すからな!
そう言って逃げるように教室を去って行った。
2人でやるはずだった大量のホッチキス作業を残して。


———
——————


鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
初対面の女子にあんな姿見られるなんて
恥ずかしいに決まってるだろ!
俺は学校1モテる男で通ってんだから……
大羽 圭子
大羽 圭子
そんなのどうだっていいよ
それより、作業をほったらかして
帰る方が悪いと思うけど……
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
それは悪かったって!
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
……でも、俺は努力して
このイメージを保ってたんだ!
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
明るくてモテモテな俺が
まさかオバケが怖い臆病者だなんて
男の名が廃るだろ
鷹宮悠馬は相変わらず、
「モテたい」という浅ましい思考をしている。

だけど、こう見えて人一倍怖がりで臆病な一面を持っているらしい。
大羽 圭子
大羽 圭子
わかったよ
守護霊になってあげる
でもその前に条件があるんだけど……
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
条件?
大羽 圭子
大羽 圭子
私が浮遊霊としてこの世に残ったのは
阿部くんへの想いを伝えられなかったから
その未練を断ち切るために
協力をしてほしい
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
ほら見ろ
やっぱり告白しておけば
よかったじゃん
大羽 圭子
大羽 圭子
(ちっ…これだから恋愛強者は……)
大羽 圭子
大羽 圭子
とにかく!
死後49日間はこの世にいられる
だけど、天界からお迎えがきたら
私は行かなきゃいけない
大羽 圭子
大羽 圭子
それでもいいの?
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
それでも頼む
あんたの告白にも協力する!
今まで見たことがない真剣な表情。
よっぽどオバケが怖いのかと少しかわいそうになった。
大羽 圭子
大羽 圭子
わかった
じゃあやってみるよ守護霊!
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
よし!契約成立だな
お互いが了承した途端、私の身体が光り輝いた。
大羽 圭子
大羽 圭子
え?え?
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
……なんか
あんたの頭の三角巾に
『守』って文字がついたけど
大羽 圭子
大羽 圭子
なにそれ!?
すごくダサいじゃん……
というか、三角巾なんてついてたの!?
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
いーじゃん……ぷっ、はは!
絶妙にダサくて似合ってるよ
大羽 圭子
大羽 圭子
(コイツ……)
大羽 圭子
大羽 圭子
今日はもう解散!
私は家に帰らせてもら……

鷹宮悠馬から離れようとした途端、
ぐいっ!!と謎の力によって引き戻される。
大羽 圭子
大羽 圭子
あ、あれ?
何度か離れようと試みるも、
見えない引力により引き戻されること数回。
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
何やってんだよ
大羽 圭子
大羽 圭子
いやいや、まさかそんな……
どうやら私はこの大嫌いな男から、5メートル以上離れられない身体になってしまったらしい。

こうなることを知ってたら、
守護霊なんて承諾しなかったのに。

軽はずみな選択を、早くも後悔することになった。


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