第16話

二人の出会い side:悠馬
1,123
2026/08/10 09:00 更新
 今思えば、大羽圭子は初めて出会った時から
気になって仕方がない存在だった。

俺は幽霊が見える体質で、本当は臆病な性格。

そんな弱み、誰にも知られたくはなかった。
女子たちには特に。

だけど、コイツには初めて会った時から、
情けない顔を晒してしまった。


——————
———


——高校1年のある日。

 隣のクラスの大羽圭子と、
同じ委員会になり初めて顔を合わせることになった。

しかしその一週間前から、執着心の強い悪霊に追いかけ回されており、一睡もできていなかった。

最悪のタイミングだったのだ。

俺は一人になるのが怖くてギリギリまで
女の子を引き留め、少し遅れて委員会に顔を出した。
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
わりーわりー
遅れた〜〜ってあれ?
誰もいない?
大羽 圭子
大羽 圭子
ここにいますけど
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
……っ!?で、で……
大羽 圭子
大羽 圭子
で?
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
でたーーーー!!く、くるな!
大羽 圭子
大羽 圭子
はあ?

ぱっと見では気づかないほど、影の薄い人間。
そんなものいるはずがない。

だから俺は大羽圭子を悪霊と見間違えたのだ。

大羽 圭子
大羽 圭子
えっと……ごめんなさい
別に驚かそうと思ったわけじゃ……
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
や、やめろ……
それ以上近づくな!
俺に何か恨みでもあるのか!?

この一週間は家の周辺でしか見かけなかったのに、
まさか学校までついてきたのか?

恐怖の対象である悪霊との接触に、
自然と涙が出てくる。

大羽 圭子
大羽 圭子
あの、何か勘違いしてると
思うんですけど……
私人間ですよ?
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
は?

そこで俺は勘違いをしていたことを悟った。

変なヤツだと思われた?
女子相手に涙まで見せる臆病者だって?

こんなことが知れたら、今まで作り上げた
モテモテの俺のイメージが崩壊してしまう……。

また一人でこの体質と向き合わなきゃいけないのか?

一瞬ですべての感情が襲ってきた。
混乱、後悔、恐怖、羞恥。

そして俺は最大のミスを犯してしまう。

鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
このこと誰かに言ったら
ぶっ殺すからな!

そう、俺はちっぽけなプライドを守るために、
大羽圭子を脅して委員会をすっぽかしたのだ。


女子に対してそんな愚行に出てしまったことを後悔した俺は、その後大羽圭子に謝る機会を伺っていた。

だけど影が薄く神出鬼没な彼女は正攻法では、
なかなか見つけられなかった。

鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
このクラスに
大羽圭子さんっている?
女子生徒
あ〜オバケさん?わかんない……
あの子、すぐ消えちゃうんだよね
だからみんなオバケさんって
呼んでるんだけど
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
そっかありがと

人に聞いてもわからない。
出席はしているはずなのに、席にも……。

鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
え、席に普通にいるじゃん
女子生徒
あれ!?本当だ……!?
ごめん、さっきはいなかったんだけどな

神出鬼没というのは間違いで、
本当はずっとそこにいるのかも知れない。

これがきっかけで、俺はいつしか大羽圭子を
無意識に探すようになっていた。


そしてとある法則を見つける。

大羽圭子は阿部という男子をいつも影から
見守っていたのだ。

そして、甲斐甲斐しく落とし物や
困りごとをこっそりと解決している。

阿部本人にはもちろん、他の誰にも気づかれないのに。

鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
またストーカーしてんの?
大羽 圭子
大羽 圭子
ぎゃあああ!だ、誰!?
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
2組の鷹宮悠馬。
ほら、委員会の時一緒だったっしょ
大羽 圭子
大羽 圭子
……あぁ、あの……

なぜか軽蔑の眼差しを向けられ、用意していた謝罪の言葉は吹き飛んでしまった。
大羽 圭子
大羽 圭子
今忙しいので
話しかけないでもらえますか?
鷹宮 悠馬
鷹宮 悠馬
そんな寂しいこと言うなって〜
女子に嫌悪感丸出しの対応をされることが新鮮で、
俺はそれから大羽圭子のことを度々からかうようになっていった。

———
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きっと初めて会った時すでに、
大羽圭子は俺の特別な存在になっていたのかもしれない。

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