翌朝、私たち一行は鷹宮家に別れを告げた。
親らしからぬ別れの言葉を告げ、母親はあっさりとドアを閉めた。
しかし次の瞬間——。
阿部くんがそのドアを足で止めて、
家の中の家族へと大声で話しかける。
にこっと笑顔で言い放ち、
玄関のドアを閉める阿部くん。
鷹宮悠馬はポカンとした顔で固まっている。
なんだか誇らしげに微笑むマリア様。
私も思わず阿部くんを褒め称えた。
しかし、それを聞いた鷹宮悠馬がギロリとこちらを睨んできた。
なんだかトゲトゲしい言い方に、少しむっとする。
すると、マリア様が横からぼそっと一言呟いた。
かぁあっと真っ赤になった顔を見て、
私はふとマリア様の言っていた言葉を思い出す。
え?
つまり、嫌いじゃないってことは
私が好きってこと……?
ははは……まさかね。
マリア様はきっと何か誤解をしているのだろう。
数多の女子たちを手玉に取ってきた
女たらしの鷹宮悠馬が、こんな地味で影の薄い私を
好きになるわけがない。
だけど、なぜだか少し胸がドキドキと高鳴っていた。
そして私たちは、ぬいぐるみがお焚き上げされた常火ノ宮神社へと到着した。
古びた神社の境内には、供養された人形たちが飾られ、異様な光景が広がっていた。
私たちはまず、神主さんに話を聞くことにした。
何かを察した神主さんの顔色が徐々に青ざめていく。
そう言って神主さんは社へと踵を返そうとする。
しかし、シゲさんが慌てて引き止めた。
シゲさんの説得のおかげで、神主さんは渋々許可を出し、私たちを社の奥へと連れていった。
社の中には、厳重に鎖とお札で封印された桐の箱がぽつんと置かれていた。
神主さんの言葉が終わる前に、
突然バキっと音を立てて箱が壊れる。
ぎぎぃ……と箱がひとりでに開き、
中から凄まじい形相をしたぬいぐるみが顔を出した。
そしてそのぬいぐるみは、
鷹宮優馬めがけて飛びかかってきたのだ。


















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!