鷹宮悠馬から離れられなくなってしまった私は、
仕方なくコイツの住む家にお邪魔することになってしまった。
学校からすぐ近くのアパートに一人暮らししていて、
合鍵はいくつもあり、誰でも出入り自由な場所らしい。
アパートにつくと、こぢんまりとした
小さな6畳ワンルームが広がっていた。
生活感がありながらも、
しっかりと整理整頓された部屋だ。
そう言いながら手際よく冷蔵庫の中身を確認している。
ひょいと後ろから覗いてみると、
いくつもの惣菜がタッパーに詰められ、
きれいに並んでいる。
思わず感心してしまい、慌てて話題を戻す。
カレンダーにはびっしりとバイトの予定らしきものが書き込まれていた。
てっきり親から仕送りをもらっていると思ったが、
もしかして家賃や生活費を自分でなんとかしているんだろうか。
そう考えると、一気に私よりも大人びて見えた。
フライパンを器用に捌きながら、
ウインクを飛ばしてくる。
なんだ、やっぱりいけすかない。
ああ、そうか。
なんだかわかった気がする。
この男はオバケの類が寄ってくる奇妙な体質と付き合いながら、臆病で怖がりな性格を必死に隠してきたんだ。
そのために、一人になる時間を少しでも減らそうと、
今のようにカルい女たらしになったのかもしれない。
一面だけを見て、人となりを判断するなんて、なんて馬鹿だったんだろう。
———ピンポーン。
アパートのチャイムが鳴り、鷹宮悠馬は返事をしながら玄関へと向かった。
ドアを開けるとそこには、いかにもチャラついてそうな派手めの女が立っていた。
チラリと私を一瞥した鷹宮悠馬は、少し考えた後、
派手な女を追い返した。
派手な女は案外あっさりと帰っていった。
私はそれ以上考えるのをやめた。
なぜかぶっきらぼうにそう言って、目を逸らした。
それから時間が経ち、夜も深まってきた頃、
私は守護霊がどれほど過重労働なのかを思い知ることになる。
まるでわがままな子どものように、
遠慮のない要求に疲れてきた。
なんでも、排水口から悪霊が顔を出したこともあるそうで、それが怖いのだと言う。
見てろと言ったり、見るなと言ったり、
本当にどっちなんだ。
見るなと言われても、
これだけ近くにいたら自然と目に入ってくるものだ。
無駄に引き締まった身体もモテる秘訣なんだろうか。
そしてしっかり1時間かけて長風呂を堪能した鷹宮悠馬は、満足そうにベッドに横になった。
と、そっと横になり添い寝の体勢をとる。
なぜか顔を真っ赤にして拒絶された。
もしかして、添い寝の権利があるのは美人しか許されないのだろうか。
だとしたらとても失礼なやつだ。
ふわふわと浮遊しながら、
鷹宮悠馬の寝顔をじっと見守る。
少し彫の深い整った顔、
それに私よりも長いまつ毛になんだか腹が立ってきた。
鷹宮悠馬が眠りについたのは、
それから3時間も後だった。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。