目をつぶって数秒、何も起こらなかった。
恐る恐る目を開けると、おばあさんは
何もいない空中に向かって護符を振り回していた。
スカッスカッと、
ただ空を切る護符が音を立てている。
おばあさんには、私の姿はまったく見えていないようだ。
すっと手をおろし、おばあさんは鷹宮悠馬の方へと向き直った。
目には眼帯。
そして巫女のような和装姿で、見るからに胡散臭い。
幽霊である私の姿が見えないのであれば、
霊媒師というのは嘘かもしれない。
もしかして高い値段で数珠とか壺とかを
売っているのではないだろうか。
まさか私の声が聞こえているとは思わず油断した。
ハァ!!と手をかざされ、
私はバチンと数メートル弾き飛んだ。
シゲさんは、とある悪霊との戦いの末に視力を失ったらしい。
シゲさんの実力は本物らしく、その後私は丁寧に謝罪をした。
鷹宮悠馬が悪霊に憑かれやすいのは、
何か原因があるはず。
根本解決に向けて、シゲさんと話をすることで
突破口が見つかるかもしれない。
こうして、私たちはシゲさんおすすめの、
古びた喫茶店へと入った。
そして入店して驚いたのは、お水が3つ出てきたことだった。
そう言ってマスターをチラリと見た鷹宮悠馬は、
同類の存在に少しだけ嬉しそうだった。
シゲさんの真剣な声色に、鷹宮悠馬は口を開いた。

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。