マリア様の助言を元に、私はいろんな方法で
阿部くんへ想いを伝えることにした。
その夜、鷹宮悠馬に紙とペンを用意してもらった私は、全力で机に向かっていた。
オバケはもちろん実体のあるモノを動かしたり、
持つことはできない。
だけど修行すれば、ポルターガイストのように大きなモノも動かしたり、声を届けたり、写真に写ったり
「心霊現象」として生きている人に何かを伝えることができるらしいのだ。
マリア様からの助言を思い出し、
私は動かしたいペンへと集中する。
すると、ぺンが宙に浮いた。
急に後ろから鷹宮悠馬が覗き込んできて、
ペンはポトリと机の上に落ちた。
そう言うと、鷹宮悠馬はふわっと優しく笑った。
初めて見る優しい笑顔に、少しだけ驚いた。
しかし、苦労して書きあげた手紙は、
入れる下駄箱を間違えたせいであっけなく別の男子に渡ってしまった。
柱の影から様子を伺っていた私は、心底落胆した。
それから一週間、私はあらゆる方法で阿部くんにアプローチをかけた。
ある日は阿部くんの耳元で告白してみたり。
「「パチン!!」」
自分としては大声のつもりだったが、
どうやら蚊の羽音くらいの音量しかなかったらしい。
また翌日は、鷹宮悠馬に協力してもらい心霊写真として写り込んでみたり。
「「カシャッ」」
今度こそはと意気込んで、
居眠り中の阿部くんの夢に入り込んでみたりした。
その後、夢の中の阿部くんはトライアスロン中に巨大なチワワに追いかけられ、大食い大会では予選敗退した。
連敗中の私は、げっそりしながら鷹宮悠馬に結果を報告する。
なんだか妙にニヤついていて、嬉しそうだ。
もしかしてこの男、私の失敗を楽しんでいるのだろうか。
どこか居心地が悪そうにふいっと目をそらされて、
私は首を傾げる。
そんな時、マリア様がふわりと近くへ飛んできた。
マリア様はごにょごにょと口ごもった。
もしかして、危ない方法なのだろうか。
でも、未練を断ち切るためにはどんなことだって
試すに越したことはない。
私はその内容に、思わず声をあげてしまった。
(死後14日経過/お迎えまであと35日)

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。