とある国の、とあるお城に、ひとりのお姫様が住んでいました。
美しい栗色の長い髪、唇は薔薇のつぼみ。
きらきらと輝く大きな瞳は、太陽の光をいっぱい集めたようです。
優しい王様とお妃様はひとり娘を溺愛し、お姫様の欲しがるものを欲しがるだけ与えたため、ちょっぴりワガママに育ってしまいましたが、そんなところもまた愛くるしく思うのでした。
なにひとつ不自由、平和で幸せな毎日。
けれど、年頃になったお姫様には、少しだけ退屈です。
なにしろ、お世話係の召使い達が何から何までお世話をし、スプーンだって持たせてくれるのですから。
でも、堅苦しい礼儀作法や、難しい古典や歴史のお勉強は大嫌い。時々お城の散歩をしますが、村の子供たちのように、木登りしたり、駆け回ったりすることは許して貰えません。
_____何か、ドキドキするような事はないかしら?
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!