その上層部の言葉と共に
突然、過去1番最悪な日の出来事を思い出した
私がまだ小学生に上がる前のこと
その頃から私への態度は最悪で、唯一の心の拠り所は
私の母親だった
私の日課は、庭の掃除をしたり稽古をつけること
そして郵便が届くと私が玄関に取りに行って、
届け物を家の人達に渡すことも仕事のうちだった
そしてその日の朝、ある一通の手紙が届いた
その当時は難しい漢字で読めなかったけど
今なら分かる
「 呪術界上層部 」から送られてきた手紙だった
宛先は母親だったため届けに行く
その後はいつも通り、仕事をこなしていた
夕方になり、日課である庭掃除をしている時のこと
なにやら急に、家が騒がしくなっていた
何事かと思い、庭から家の中を見てみる
すると、首を吊る母親が目に入った
夕日に照らされ、廊下にはたくさんの家の者達がいて
よく顔が見えなかった
後々話を聞いたら、私が母親に渡した手紙には
任務の際に父親が死んだという報告だったらしい
それにショックを受けた母親は、いわゆる
後追い自殺をした
私を残して
まだ小さかった私には
母親と父親が死んだ事実は受け入れ難い出来事だった
ひとり部屋で母親の形見である着物を見つめていた
その時、着物から一通の紙が落ちた
その手紙は私宛てだった
遺書と言っておくべきだろうか
その手紙に急いで手を伸ばし、手紙を読み始めた
「 先に逝ったことを許してください。
貴方の父親は私の人生において、大事な方でした。
家からの圧力に絶対に負けず、立派な呪術師になって
私が産んで良かったと思えるような子に
なってください。 」
“ 立派な呪術師になって、産んで良かったと
思えるような子になって ”
この言葉は生きていく上で一生忘れないであろう
立派な呪術師になる、一生呪術師として生きていく
私はそう捉えて、母親から私への呪いとなった
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。