第3話

優しい味
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2019/12/09 07:20
大家さん
大家さん
はいはーい、じゃあ早速ご飯当番さーん、夕飯よろしく~
美渚
美渚
お、大家さん!
大家さん
大家さん
ん?
美渚
美渚
あの、私はどうすれば…
大家さん
大家さん
美渚の当番は明日からだから、今日はごゆっくりどうぞ
美渚
美渚
あ、ありがとうございます…
でも、家賃払わないのにこんなこと…
大家さん
大家さん
…納得いかない顔だね?
美渚
美渚
はい…お家賃も免除して頂いてるのに、本当に申し訳ないなって…
大家さん
大家さん
料理、お皿洗い、洗濯、お風呂掃除の中でどれが一番得意?
美渚
美渚
え、えっと…料理です
大家さん
大家さん
はいじゃあ決まりね
美渚
美渚
へ…?
幸くん
幸くん
今日のご飯当番さんだーれ?
臣くん
臣くん
誰だっけ
凜音さん
凜音さん
私は違うよ~
如月先輩
如月先輩
俺も違ったと思うが
大家さん
大家さん
はいはーい、みなさん、今日のご飯当番は誰ですかー?
凜音さん
凜音さん
あ、臣くんじゃん(笑)
臣くん
臣くん
うわ、まじかよ…
幸くん
幸くん
やっぱり臣くんか~!
大家さん
大家さん
じゃあ臣、美渚も手伝いたいらしいから、一緒に夕飯作ってね
臣くん
臣くん
…え
幸くん
幸くん
え、美渚と一緒なの⁉
凜音さん
凜音さん
臣くんい~な~!
臣くん
臣くん
ねだっても代わってやんねーよ
幸くん
幸くん
ぷ~、臣くんずる~
美渚
美渚
え、あの、私…?
大家さん
大家さん
というわけで、よろしくね、お二人さん
ええーーーーーーー!!!!????
臣くん
臣くん
お前料理上手いの?
美渚
美渚
いや、そこそこだと思う
…まあ、多分臣くんよりは上手いけど
臣くん
臣くん
…言っとくけど、俺の料理めっちゃ美味いから、覚悟しとけよ
臣くんが、ちょっとイラッとさせる口調で言った。
美渚
美渚
こっちこそ、負けないし
…てか、何作るの?
臣くん
臣くん
そんなん決まってるだろ
美渚
美渚
え?(笑)
はぐらかさないで教えてよ~
臣くん
臣くん
マカロニグラタン
え…?
臣くん
臣くん
美渚、好きって言ってただろ
美渚
美渚
…聞いてたんだね
臣くん
臣くん
そりゃ聞くだろ普通(笑)
美渚
美渚
…でも、なんで?
臣くん
臣くん
…ウチに住んでも寂しくないようにって、迎えた日は、その人の好きな料理を作るって決まってるんだ
美渚
美渚
そうなんだ…
臣くんが考えてくれたわけじゃなかったっていうのは、ちょっと残念だけど…
でも、やっぱりここって、温もりがあるんだな…
美渚
美渚
臣くんは、ここに来た時、何を作ってもらったの?
臣くん
臣くん
……
美渚
美渚
…臣くん?
臣くん
臣くん
…忘れた
美渚
美渚
…そっか
私は、臣くんが言わなかった理由がなんとなく分かった気がした。
入った時のこと、思い出したくないよね…
臣くん
臣くん
でも、美味かった
美渚
美渚
…それは覚えてるんだ
臣くん
臣くん
まあ、あの・・如月先輩が作ってくれたからな
美渚
美渚
え、そうなの⁉
全然料理するイメージがないんだけど…
臣くん
臣くん
…すごく優しい味だった
美渚
美渚
…へぇ、先輩が当番の時に食べるのが楽しみだね
臣くん
臣くん
いや、如月先輩はご飯当番滅多にしないから
美渚
美渚
え?
臣くん
臣くん
凜音さんの話によると、包丁持つのが怖いらしい
美渚
美渚
ええ!なのに美味しかったの⁉
臣くん
臣くん
ああ、まじで美味かった
美渚
美渚
余計に気になるな…
優しい味、か…
臣くんの料理も優しい味なのかな…

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