臣くんについて行き、私は臣くんのお家へ向かった。
そう言われ、目の前の建物を見上げると…
でも、どう見てもアパートにしか見えない。
臣くんの話によると、お金は払わなくていいみたいだけど…
ガチャッ。
私が突っ立っているうちに、臣くんが中に入っていった。
家の中から声がした。
臣くんが私を見た。
私は、家の中に入った。
私は頭を下げた。
てか、「好きな食べ物はマカロニグラタンです!」ってなんだよ!
もっと可愛いのにしとけば良かった…
臣くんが、大家さんには聞こえないくらいの声で、ボソッと言った。
私は少しホッとした。
大家さんが私を見つめた。
この人の目…
初対面だし、普通そんなはずないのに…どこか、安心出来る。
絶対に裏切らない目だ。
こうして、私の「にじいろの家」での生活は始まった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!