第4話

アイエン×かっこいい女子
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2021/01/25 02:42
僕の彼女は僕がStray Kidsであることを知らない。


多分バイトの忙しい大学生だとでも思っていると思う。




でも、別に隠しているわけじゃない。

彼女がアイドル僕の仕事に気付いても多分何も変わらないから。












カランカラン🔔
あなた
いらっしゃいませ〜
あなた
あれ、ジョンイナ?


時間できたなら言ってよ〜
休みとったのに
ここはあなたがバイトしているカフェ。


といっても大きいチェーン店の建ち並ぶ大通りの裏にあるこの店は、僕が知る限りいつも空いている。
どうしてずっとバイトを雇っているのか少し気になるくらいだ。
アイエン
ううん、元々ここで待つつもりで来たの。
あなた
そう.....
じゃあ、アイスアメリカノいつものでいい?
アイエン
うん。
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1年くらい前、


あなたと出会ったのはカフェここではなく、


駅前の横断歩道。


あんまりかっこよくないからこの話は人にはしたくない。



俺に気づいた女性に腕を掴まれて、
怖くて笑顔で返答することもできず、
かといってファンを強く振り払うこともできないでいた俺を見つけた彼女は、
あなた
あの、彼いやがってますよ?
と言いはなって女性を引き剥がすと、


いきなり走り出して俺をこのカフェまで連れて来てくれた。



カフェに着くと、僕をカウンターに座らせて、

ウエイター姿で戻ってきた。
あなた
すいません、お節介でしたか?
アイエン
いえ、その、ありがとうございます。
あなた
もしかして元カノですか?


あぁいうタイプは一回ビシッと言わないと
いつまでもつきまとってきますよ〜


どうぞ、少し熱いですよ。
アイエン
あの?
あなた
あれ、コーヒー飲まない方ですか?
アイエン
.....いただきます。




フーフー


アイエン
おぁ
あなた
ふふ〜マスターのコーヒー美味しいですよね
アイエン
あの、
あなた
はい?
アイエン
どうしてその、
僕の方を連れてこようと思ったんですか?


僕男だし。
あなた
あ〜それはその....なんとなく?

同じ香りを感じたので
アイエン
同じ香り、ですか?
あなた
ほらあの、"男子校の姫"っていってわかります?
アイエン
あ〜わかります。え?男性?
あなた
あぁいやそうじゃなくて笑


そういうのが女子校にもあるんですよ、
アイエン
"女子校の王子"?
あなた
....まぁ、そんなところです。



そんなあだ名がついてた時代に、
結構しつこい、というか半分ストーカーみたいな子もいて。
マスター
高校生のときはここにもラブレター届いてたね〜
アイエン
え、ほんとですか?
あなた
その節はご迷惑おかけしました...
マスター
うちとしては女の子がいっぱい来て助かってたよ笑


今もたまに来てくれるしね。
あなた
正直、そこらへんの男よりはモテてた自負ありますけど笑笑
マスター
でもお兄さんもモテそうだね〜
あなた
なんか、アイドルみたい
アイエン
いやいやいや


(本当に僕のこと知らないんだな)
マスター
失礼でなければ、何歳なの?
アイエン
20です。
マスター
え、じゃああなたの名字ちゃんと同い年?
あなた
01年生まれですか?
アイエン
はい
あなた
わぁ偶然ですね笑
アイエン
あ、俺、もう行かないと。
あなた
あ、急に引き止めてごめんなさい、
勝手にだしたのでお代は大丈夫なので、

またコーヒー飲みに来てください
アイエン
すみません、、、ありがとうございます、
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ファンの応援に応えることに必死で、


アイドルとしての自分と、本当の自分の境目がわからなくなって、

すぐに悪意に変わるかもしれない一方的な好意に怯えていた当時、

純粋に人として普通に居られる
カフェここが、僕にとってのホームになった。











じゃあ、なんでそんなかっこいいあなたが僕の彼女になったかと言うと、


簡単に言えば勢いだった。


カフェに通い始めて1ヶ月くらいたったとき、








カランカラン🔔
アイエン
こんにちは〜
???
あなた先輩〜、お試しでいいんです!
1週間だけ!ちょっとだけでいいので、お願いします。
あなた
あ〜うん、えっと、ごめんね。

お店ここに来てくれればお話はするからさ。
アイエン
(マスター、なんですかあれ、ホストの営業?)
マスター
(あの子もあなたの名字ちゃんの後輩なんだって。大学入ってもファンができちゃうんだからさすがだよね。)
アイエン
(へぇ〜噂は本当だったんですね)
???
だって彼氏いたことないってききました!

じゃあちょっとだけと付き合ってみるのはどうですか?
アイエン
ブッ☕
あなた
え?!あ?ど、どこでそんなの聞いたの〜?


あのね、私は女の子だから付き合えないって言ってるんじゃなくてね、

その、あの、なんていうか
???
じゃあ男性とお付き合いされたことあるんですか??
あなた
あの、えっと
アイエン
彼氏ならここにいるけど、どう?
???
は???

貴方みたいな可愛らしい男がカッコいいあなた先輩の彼氏??

そんなわけないですよね?先輩?
アイエン
(うわぁダメージ100)
あなた
え.............?

あ、そうです。
???
え?!
マスター
すみませんね〜そういうわけなのでまたのご来店お断りさせていただきます〜
口からついて出た嘘に、自分でも少し驚いた。



多分
あなたに恋人ができるかもしれない状況と、
あなたの昔の恋人に繋がる発言に、
焦ったんだと思う。



でも、何より驚いたのは


ずっと余裕綽々としていた彼女が
顔を赤くして俯いていたことだった。
あなた
あり、がとう。
アイエン
ううん、借りを返しただけだよ笑
あなた
そっか。
アイエン
あの、さ。
あなた
なに?
アイエン
.....ほんとに僕を彼氏にする?
俯いていたかあなたは顔を上げて、

少し驚いた顔をした後、
いつもの余裕綽々とした表情に戻って
えくぼを作って言った。
あなた
そんな告白聞いたことないんだけど笑
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あなた
ジョンイナの青い髪みたら
私もしたくなっちゃった。
アイエン
ん〜痛んじゃうよ。
あなた
そんなこと言って私の方が似合うのが怖いの?
アイエン
うるさいなぁ笑

それより、髪きらないの?
あなた
え?ジョンイナは長いのが好きじゃないの?
アイエン
?なんで?
あなた
え、いや ほら、私あんまり可愛らしくないから、

髪伸ばしてちょっとでも女の子っぽくしようと思ってたんだけど。
アイエン
え?
初めて会ったとき僕くらい髪短かったじゃん
あなた
え?そっか。

じゃあ切る。
アイエン
待って待って、やっぱり切らないで。
あなた
?なんで。
アイエン
ん〜内緒。
(だって俺のために伸ばしてるんでしょ?)

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