そして次の日。
学校に行くと言うと、お母さんは驚いていたが喜んでいるように見えた。
「楽しんでらっしゃい」
お母さんはそう言ったけど、楽しめる筈が無い。
だってこれは復讐の為、人を殺す為に必要なことなんだから。
本当に嬉しそうだな、お母さん。
まぁ当たり前か、今まで不登校だった娘が自分から学校に行くと言い出したんだから。
そう思うと一気に罪悪感が込み上げてくる。
私は振り替えって、誰も居なくなったドアに向かって
と一言呟いた。
学校は思ったよりも小さかった。
これなら犯人探しも少しは簡単だろう。
でも少し困った........。
良かった、助かった。
先生は校門の前で挨拶をしていた委員会の人の中から、私と同い年くらいの子を連れ出してきた。
あの子は同じクラスの子?
先生にお辞儀をして、私は蔵本さんについていった。
この子ではなさそうだけど、一応は聞いておこうかな。
あうりの事を知っているのか。
この反応、絶対に何か知ってる。
親友と言うよりも、家が近いと言っておいた方が楽だろう。
ほら、絶対知ってる。
先生には言わないつもりだ、そっちの方がやりやすいから。
まぁ最後 には言わなきゃいけないけど。
ガラっとドアを開けて、大きな声で言う佐紀。
その声で一気に目線がこちらに向いた。
教室中がざわつき始める。
「あの子は誰?」
「あいつが新しい___?」
「いや、違うでしょ!」
気になる言葉はあったけど、今は気にしないでおこう。
今大切なのは、塵探しだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!