第11話

幸せの余韻
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2020/03/23 11:22
幸之助)……ん…《眩しい…窓から差し込む朝日に気が付き薄ら目を開ける、自分の胸元には奏汰が丸まって寝ている。》…可愛い……《なんて呟く、昨日のことを思い出し、より一層奏汰を愛しく思う。出会って一晩なのにこんなにも溺れてていいのか、と考えるが運命…なんて考えれば丸く収まる。……といっても本当にそうでしかない。》

奏汰)……んぅー《小さく唸って目を開ける、温かい。自分は幸の胸の中だ。

幸之助)…起きたか?…おはよう《それを見て優しく微笑む

奏汰)…おはよ……《と頭を幸に擦りつけ

幸之助)はは…くすぐったいな《ぎゅっと奏汰を抱きしめる

奏汰)ごめんごめん……さて、起きなきゃね《とゆっくり起き上がる

幸之助)そうだな《自分も起き上がり、寝台を降り

奏汰)《寝台を降りると廊下に面する襖を開け、洗われた洗濯物が入った籠を運んで来る

幸之助)…《コレで寝てしまったから着替えないな。と思っていて

奏汰)あ、幸の着替え……《と呟くと箪笥を漁りはじめ

幸之助)いいよ…、コレで帰るし……お前のじゃ大きさが合わない

奏汰)確かに僕のは着れないけど……こらなら着れるよ、かなり前に貰ったんだけど、大きさが会わなくて仕舞ってあったんだ。これ着てよ《と藍色に金の刺繍が入った着物を差し出す

幸之助)いや…でも悪いし《確かに俺が着れそうな大きさだ、でも貰うにはかなり高価だし…申し訳ない

奏汰)いいんだよ、これ幸に似合うと思うし……着て欲しいの《お願い、と首を傾げ

幸之助)……お前には負けたよ《苦笑して着物を受け取る

奏汰)ふふ、やったぁ……じゃあ僕も着替えよ《嬉しそうに笑いながら自分は黒地に赤い椿の模様が入った女物の着物を出して着替える

幸之助)……《こんなことで喜んでくれるのか。奏汰の喜ぶ顔を見たい。そう思いながら着替える

奏汰)わぁ…幸似合ってる!《着替え終わると幸を見てにっこり笑う

幸之助)あ、ありがとう……《少し照れくさくて頭をかく

奏汰)うんうん!……あ、朝ご飯食べようか《満足気に頷くと襖をノックする音がした、禿が朝食を運んできたのだ

幸之助)うん…食べよう《奏汰の頭を撫でて

奏汰)《廊下に置いてある2人分の朝食のお膳を持って来る。

幸之助)いただきます《手を合わせて、行儀良く食べ始める

奏汰)いただきまーす《楽しそうに食べ始める

━━━━━━━━━━━━━2時間後

幸之助)さて……帰らなきゃな、罰をうけちまう《悲しそうに立ち上がり

奏汰)そっか……また来てね?部屋になら勝手に来ていいからさ《見送る為に立ち上がるとふと私物が入った引き出しを開ける

幸之助)あぁ、毎日来るよ…ちゃんとね。……ん?どうした?

奏汰)これ、つけてて《と古びたお守りを持って来て幸之助の胸にかける

幸之助)…お守り?……ありがとう《お守りを撫でると優しく微笑み、奏汰を抱きしめる

奏汰)任務で無事に居られますように…って《抱きしめ返す

幸之助)ありがとう……じゃあ、俺は行くな《名残惜しそうに離れると刀を帯に差し、部屋を出ていく

奏汰)……《見送ると鏡台の前に座り、髪を結い、軽く化粧をする。次の仕事は確か金持ちジジイか……嫌だな、と溜息をつく。
支度が終わると部屋を出て、控え室へと向かう。

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それから3か月、幸之助は任務後や暇があれば奏汰の自室へといた。
奏汰も隙があれば部屋に戻り、なるべく傍におり、怪我をして帰ってくる幸之助の手当をした。
なるべく部屋に戻ることは楼主にも伝えた。

二人は幸せだった
でも奏汰は何かを隠していた。

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幸せは長くは続かなかった

あっという間だった

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