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第13話

奏汰の正体
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2020/03/23 11:27
それから数刻後、奏汰はまだ戻って来ない。
幸が寝ている部屋の窓に数人の男達が現れる

幸之助)ん……ぅ《ゆっくり目を開ける。起き上がろうとすると傷が痛むが、ジリジリと起き上がる。……ふと窓を見る、気配…と少しの殺気がする。手を伸ばして刀を引き寄せる。
すると窓が空き、一人の男が入って来る。)

鷹之助)よぉ幸…こんな所でいい御身分じゃねぇか?《笑うと幸に近寄り、それに連れて手下の一部も部屋に入ってくる》

幸之助)……何しに来た

鷹之助)最近どっかに入り浸って帰らねぇし、今日も帰らねぇから迎えに来たのさ……それに、母上からのお言付けもあるぜ?……《ニヤッと笑い、動けない幸を弄ぶように幸の頭を掴む

幸之助)……クソッ…《動けないのがまどろこしい。それより、奏汰が戻ってこないかどうかが心配だった。

鷹之助)お前ここでいつも何してるんだ?…え?……やってんのか?盛んだなぁ、人嫌いのお前が…いい男でも居たのか?…俺も見たいねぇそいつ。

幸之助)…誰が合わせるか……《ギリッと鷹之助を睨む

鷹之助)あー怖い怖い……《笑いながら

奏汰)…どちらさん?《用事を終えて部屋に戻って来ると、知らない男が沢山いた。

幸之助)奏汰……ここに来たらいけない

鷹之助)へぇ…お前が幸のお気に入りか?……いい顔してんじゃねぇか《立ち上がると奏汰に近寄り

奏汰)…僕はどちら様?と聞いたんだけど?《笑顔でそう言うと脇をすり抜け幸の元に屈む

幸之助)……あいつは俺の兄貴だ

鷹之助)はぁ、釣れねえな……幸、母上がここにこれ以上通うなだとよ

幸之助)…それは出来ない

鷹之助)なら……ほらよ《と水筒を投げやる

幸之助)……《中身は分かってる。毒だ。……これ以上奏汰に迷惑をかけれないし…母上に縛られるのも終わる。楽になれるのかもしれない。震える手で蓋を開け口を近づける

奏汰)ッやめて……《咄嗟に幸の手から水筒を叩き落とす。

幸之助)なんで……もうお前に迷惑かけたくない。《畳に落ち、中身が流れ出る水筒を見ながら

奏汰)なんの為に僕は幸を助けたと思ってる……死ぬなんてやめてよ。

幸之助)けど……そらならもうここには来れなくなる…さっき聞いたろ?

奏汰)……お兄さん、僕と勝負しません?

鷹之助)あ?…何をだ?

奏汰)…剣術なんてどう?嫌かな?

幸之助)奏汰、やめろ……

鷹之助)へぇ…いいぞ、《ニヤリと笑って

幸之助)…駄目だ、、勝てない

奏汰)僕は短刀2本使うけど…不平なら1本にする

鷹之助)…お前が2本使っても俺が有利だな。俺は刀だからな《余裕そうに

奏汰)いいよ…僕が勝ったら今日は帰って、幸はこれからもここに来る。それでいい?

鷹之助)いいぜ……ま、勝てるかな?

奏汰)決まり……幸、短刀貸して?…今一本しか持ってないからさ

幸之助)よせ、奏汰……兄貴は強い…勝てないよ……《短刀を出すもぎゅっと握って

奏汰)大丈夫…僕を信じて?

幸之助)……気をつけろよ《短刀を渡して

奏汰)ありがとう……ここじゃ狭いから、庭に出て?《上着を脱ぐと短刀を2本持って庭に出る

鷹之助)へいへい……《刀を持つと庭に出て

幸之助)……《いざとなれば飛び出して奏汰の盾になろう。ゆっくり立ち上がると窓に寄りかかる

奏汰)わー…久しぶり《短刀を鞘から抜くと両手に構え、一方は逆手に持つという独特な持ち方をする。

鷹之助)…その持ち方……《自身も刀を抜くと、奏汰の構え方を見て何か思い出そうとするかのように呟く。

幸之助)……《奏汰の短刀の持ち方…何処かで……

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