骨董商のおじさんは、鏡をとっておいてくれと頼んだらしい。
しかし、回収車の人はどれがその鏡か分からず、全部出してきた、ということだった。
そしてでてきたおぞましいほどの鏡の数!
ヤバイ、私たちが写りすぎてカゲ分身みたいになってる!
かわいそうでしょ!?
タンスに住んでいると言う意識はあるのか…?
…モモセのまめな性格は、たぶんおじいさん似なんだろうな。
ちょい待って、どういうこと!?
うん、ほんとにやめて?
なにその設定、聞いてない!
うん!謝らないで!?
…なにこの会話。
まあ、この驚きの会話を若干無視しながら私は一つ一つの鏡を見ていった。
側面に回ったアルが呟いた。
カタカナ?
なんでそっちが先に思い付く?
と、思ったところでふと気がついた。
あの家の鏡!?
いや普通に私よりも大きいけど!?
(霧崎茉優、身長158センチ)
ってかなんならこの中で一番背が高いモモセよりも高いけど!?
(モモセ・身長179センチ)
私は鏡にそっと触れながら、いっしんで力を注いだ。
…こういう時に呪文とかが要らないの、ちょっと残念だな。
私が念じ続けていると、フワッと光が上がった。
まばゆい光のなかからでてきたのは…
絶世のお姉さん系美少女だった。
…いや、男じゃないの、そこ!?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。