<天使子side>
全く、面倒なことになったものだ。
異例の特別配属。
嫌な予感はしていたんだ。断れば良かった。
自分の獣耳をくるくると触っている。
あんだけ直せと言ったものを。
いきなり襲いかかってくるニッカ。
しかし、私が動じることはない。
≪カチン!≫
私がそう煽ると、明らかに頭にきたという顔をしたニッカ。
そのまま拳銃を打ってくるが、
≪カチン!カチン!≫
全て魔法で剥がれる。
私がふっと笑うと、またカチンらしく青筋をたてニッカ。
私がわざとらしく嘲笑うと、さらに青筋を立てるニッカ。
そのすきに私はライトさんのところにかけこむと、決壊をはって急いで解毒を始めた。
このままいくと、間に合わない可能性も……
何を考えているかは分からないけど、
今なら爆速回復が使える!
私は深呼吸をすると、魔力を一気にてに集中させた。
どんどんと良くなっていくライトさんの顔色。
早く助けなきゃいけない。
私が勝てなかったとしても。
ライトさんを家に連れかえら…
≪ボン!≫
いきなり、おとがなった。
次に振動が来る。
結界が破られた!?
足元に転がってきた玉をみると、
もう完成していたなんて…
いや。それよりも。
毒ガスが体に回って、しびれが……
遠くからニッカの声が聞こえる。
まさか、ライトさん!?
毒ガスがなくなって周りが見えるようになった瞬間、全てを私は悟った。
ニッカが毒ガスを撒き散らしてライトさんをかっさらったのだと。
私はすぐにでも動きたかったが、体のしびれが止まらず動けない。
どうしよう。ライトさんを追わなきゃ…
ん?今モモセさんの幻聴が…
え?今目の前にモモセさんがいる?
どうして?
あのモモセさんが混乱している。
そりゃそうか。知り合いが次々と倒れていたらそれは混乱するだろう。
でもどうしよう。
この状況だと、多分モモセさんも敵襲にあって追いかけられている。
となるとここで悠長に会話をもできない。
こうなった。一か八か…
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。