秋野……ゆい?
私には聞き覚えのある名前だった。
そう
双司を振った彼女さんだ。
そして私の元ライバルだ。
「なんで急に……」
彼女とは小さい時からテニスにおいては譲れないものがあった。
中学最後の夏、彼女は事故にあい
テニスをすることが出来なくなってしまった
そこからお互いすれ違うようになっていた。
「でもどうして急に……」
スマホを開き、通知を確認すると
そこには
❝双司をよろしくね❞
と
それだけ書かれていた。
どういう事?
そう返した
すぐ返信が来た。
❝そのままの意味だよ。双司は私じゃ違うの。❞
訳がわからなかった。
返信しようとした時、ゆいから電話がかかってきた。
「……」
『もしもし?遥?』
「……」
「ゆい……」
『打つのめんどくさいからこっちにしたの』
「だと思った。」
「で」
「双司がなに?」
『だから。』
『双司のこと好きなんでしょ?』
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。