先生が必死に聞く。 僕は頭が真っ白になり、あのときの記憶がフラッシュバックする
肩の力がゆっくり無くなっていく
あまりの出来事に金魚のように口をパクパクと動かしてしまう
また、始まってしまうのか?
手首の痛みと話し声で目が覚めた
目の前には大人二人。名前も知らない、何も知らない二人組。
後ろから声がした、振り替えると大男がいる。 思わず悲鳴をあげそうになった
咄嗟に口を塞がれる。 目がだんだんと潤んだ。
黒髪ストレートで、癖ひとつもない髪の毛が私の目に写った
綺麗。とっても
希望が見えた。 この人なら、この人なら救って貰えるかもしれない。口元が緩んだ。
それと同時に肩にあった重荷が降りた気もした
途切れ途切れだが返答ができた。また、口枷が取れたようにも思った。 さっきよりかは口が重くない
教祖さまはとてもニコニコしている。
死神さんと孤独さんは何故か苦笑いをする。
なんでだろう? それだけが頭を埋め尽くす
あれ? 少しわざとらしい言い方で話題を持ち込まれた?
「なんで」と言おうとした。言葉が切れてしまい、出した言葉を引っ込めなくなった
明らかにこの言い方はわざとだ、どんどん追い詰められる感覚がした。袋のネズミだ
頬にゆっくり両手が伸びる
スリスリと触られ、少しくすぐったい。
おまけの言葉が重すぎた
さっきとは真逆に、冷たく、冷めた目で睨み付けられた
飲み込みたくなかった現実が無理矢理喉に入り込んでいく
わかってた、ほんとはぜんぶ。
ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜーんぶ。 終わっちゃったってことに。
ピントがだんだんぼやけていく。
唐突に発せられる言葉が耳を貫いた
目の前には真っ黒な宝石のようなものがひとつ、ちょこんとあった
私は言葉の通りに宝石を口に運んだ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。