あの日___
私はただ街を歩いてた。色とりどりの街頭が光る、街並みを眺めながら。
「あー。 何が起きたんだろう。」
この日 私は2年付き合った彼氏に振られ ,
泣きながら歩いてたんだと思う。
下を向いちゃいけない、でも向いちゃう。
精一杯 涙をこらえて 上を向こうとした ,
「あれっ」
霞む視界の中に 一冊の本をみつけた。
「ほん...じす...?」
持ち主の名が書かれているようだ、
「café sole...? なんかのお店の名前かな?」
ずっと握りしめていた携帯で
その名を検索する。
「あった、ちょっとしたらすぐだ」
街を眺めながら 歩き 探していると
だんだんと裏道へ入っていき
あたたかな空気が流れ込んでいた。
目の前には 木造の看板に《café sole》と書かれた 小さな建物が建っていた。
「ここか...」
既に 私の 涙は乾いていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。