第24話

電話
29
2021/07/22 11:00
「すぐ行くよ」
そう来てから、数秒後。
♪♪♪〜
松下時音
っ、もしもし!
亮くんっ、あ……あの……ね!
怖い……。怖いの……っ
安心したからか、わけわかんなくなって。
谷村亮
『時音、いい?よく聞いて。
 何があっても助けるから。
 僕は時音を裏切らないから。
 落ち着いて、深呼吸して?』
亮くんらしいその言葉に、私は泣きそうになった。
すぅ……はぁ……。
谷村亮
『よし。
 今、どこ?言える?』
松下時音
……家
谷村亮
『時音の?』
その時。
ガラララッ
松下時音
!?
お母さんが入ってきたから、あわててごまかす。
松下時音
あっ、そうですか。
はい。はい、わかりました。
それでは、失礼しま〜す
谷村亮
『…………』
通話は切っていない。
母親
お仕事の電話?
松下時音
う、うん
母親
そう。
……義父様がお見えよ。
支度して
松下時音
……少し、待ってもらって、いい?
いま、気分が悪いの
母親
……わかった。
明日は大事な日だもの。
今日はいいわ。
休みなさい
松下時音
……はい
バタン
行った……よね。
松下時音
……もしもし
谷村亮
『今のって』
松下時音
お母さんだよ。
私、今、実家にいるの。
明日、婚約者に会うために帰ってきたの……
谷村亮
『は!?
 婚約者!?』
伊乃里くんのこと、過去のこと。
全て亮くんに話した。
谷村亮
『……それ、許せない』
松下時音
亮くん、ありがとう。
でも私、どう頼ったらいいかわかんない……
谷村亮
『そいつ、僕が許さない。
 ……ご実家の住所教えて』
松下時音
うん、いいけど。
……押しかけて来ないよね?
追い返されるだけだよ?
谷村亮
『婚約者に会うのって、ご実家でだよね』
松下時音
うん
谷村亮
『僕、彼氏のフリする』
松下時音
え!?
何言い出すの!?亮くん!?
谷村亮
『この婚約には納得できません、って
 押しかける』
松下時音
そんな……!
いいよっ
谷村亮
『良くない。
 時音から家を出ることは
 できないんでしょ?』
松下時音
できなくはない、けど……
谷村亮
『いいんだよ。
 簡単に決めることじゃないし。
 僕は大丈夫だから』
松下時音
……先輩さんのお店は?
谷村亮
『あぁ……、断っておく。
 時音のほうが大事だし』
うっ……。
( ゚∀゚)・∵. グハッ!!
松下時音
……///
あっ……でも、亮くん、彼女さんいるよね……?
松下時音
ほんとにいいの?
谷村亮
『うん(即答)。
 ……あ、そうだ。
 先輩だ!!!』
松下時音
え?
谷村亮
『いいこと思いついた!
 僕と先輩で、明日、時音の
 ところへ行くよ!』
松下時音
え?
どうやって……
追い返されるだけだよ……?
谷村亮
『時音も手伝って!
 先輩が明日料理を届けたらいいんだ!』


















私ならできる。
亮くんは、上手くいけば家に入れる方法を考えてくれた。
私を助けてくれるって。
じゃあ、私は待ってるだけってわけにもいかないよね✨
松下時音
お母さん
母親
あら、体調は戻ったの?
義父様に会う?
松下時音
あの……明日、伊乃里くんのために、お料理を注文したいの。
もう手配は済んでて……。
いいよね?
母親
……そう。いいわよ
きっと伊乃里さんも喜ぶでしょう。
やっと乗り気になったのね
松下時音
……失礼します
親に向かって「失礼します」はないだろうけど。
酷いことされたわけではない。
でも、お母さんと話したくない。

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