亮くんと久しぶりに再会してから、一週間がたった。
あの日の満たされた感じは何だったのか。
ずっと亮くんのことを考えている気がする……。
あの日の亮くんは、私を家まで送ってくれるという、
相変わらずな面を見せ、また1つわかったことがある。
どうして今まで会わなかったのか不思議なくらい、
意外と近くに住んでいたことがわかった。
そんなある日。
家への帰路を歩いていた。
テクテクテク
あれ……亮くん!?
隣りにいるきれいな女の人、誰……?
モ:「こいつ、彼女いるんだぜ〜」
お姉さんや妹さんではないことは確か。
亮くんが話してくれたお兄さんの他に、兄弟はいないはず
だから。
と、女の人が亮くんの手を取る。
ズキッ
……別に、亮くんに彼女がいてもおかしくないよね。
わかってるんだけど……。
だってこの間、「いないよ」って言ってたじゃん。
そのことに、勝手に安心したのは私だけど……。
ん゛!?
まさかの同棲ですか……!?
ズキッ
びっくりしたまま立っていると、いつの間にかどこかに行ってしまった。
モヤモヤ
もしかして、私……。
夜。
明日も朝は早いし、寝たいのに……。
昼間のことが頭から離れない。
あの人、誰なの……?
私は、亮くんのこと……。
隼人くんへの気持ちが嘘だとは思わない。
でも、きっと私は、心のどこかでずっと亮くんのことを……想っていたんだ。
好きだったんだ。
認めたくなかった。
初めての親友。大切な亮くん。
いつもいつも。
好きって気づいたときには……。
遅すぎだよね。
どうしよう。
亮くんの幸せは……。
人の為も大事だけど。
私の幸せも考えなきゃ。
誰も答えない。
親友、友達、恋人、好きな人。
これは両立できないからね……。
私がこの気持ちに気づいた今……もう亮くんとは親友に戻れないのかな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!