第13話

30cm
573
2018/05/04 12:34
奏耶
奏耶
俺と美空が離れることはないよ
え、なんで?

離れようって思えば離れられるのに
奏耶
奏耶
美空が俺から離れても、俺が美空に
近づいていくから。
美空
美空
なっ...!
奏耶
奏耶
自分の人間関係まで誰かに決めて
もらいたくないな俺。
女子
女子
....
奏耶
奏耶
あと、俺裏表ある子苦手だからさ。
ごめん、普通に君にはおちないわ
女子
女子
も、もういいよ、ごめんなさいっ
そう言ってその子は早足に私たちの元を離れた。


奏耶
奏耶
なんかあったら言えって言ったのに。
美空
美空
迷惑かけると思って。
奏耶
奏耶
「友達」には迷惑かけてなんぼだろ。
友達.....
美空
美空
...そう...だね。
奏耶
奏耶
.....お前さー。
美空
美空
な、なに?
奏耶
奏耶
俺が美空への気持ち消して、友達に
戻るの嫌なの?
美空
美空
えっ...
奏耶
奏耶
あっ....いや、ごめん。
今のなかったことに....
美空
美空
そうだよ
奏耶
奏耶
え?
美空
美空
って言ったら.....どうする..?
奏耶
奏耶
っ...
ジリジリと奏耶が近づいてくる。


辺りは静かで。
私の鼓動と、私に近づく奏耶の足音だけが聞こえる。

奏耶は私の肩を掴んで。また少し近づく。
残り30cmくらい。
奏耶
奏耶
っぶね....
奏耶が私から距離をとる。
奏耶
奏耶
...お前、もっと冗談らしく言えよ。
男はそういうの勘違いする。
冗談じゃないんだもん。

冗談っぽく言えないよ。
奏耶
奏耶
生徒会室...戻ろっか。
美空
美空
うんっ...

緊張が解けて、みんなの声が聞こえて、風の
音が聞こえて。

賑やかなのに


私の鼓動は、騒々しいくらい音を増すばかりだ。
___________________________________
先生
先生
えーそろそろ夏休みになるわけだが、
羽目を外しすぎないように....

夏が来た。
夏といえば。

私は真っ先にお祭りが浮かぶ。
私たちの町では、少し早めに夏祭りがある。
確か....
美空
美空
今週の日曜日....
毎年お祭りは、瞬と奏耶と朝日と一緒。
同じ浴衣を着て。

ただ男子って、「いぇい夏祭り行こうぜぇぇええ!」
って自分たちからなるものではないのか。

私から誘わないと話の話題にも上がらない。
美空
美空
よしっ。

....毎年同じは嫌。
今年は今までとは違う夏にしたい。
美空
美空
奏耶ー
奏耶
奏耶
何?
美空
美空
今週の日曜。何があるでしょう。
奏耶
奏耶
え、何美空誕生日だっけ
美空
美空
違うよお祭りだよ!
奏耶
奏耶
あー。もうそんな時期か
美空
美空
今年も行こう。
奏耶
奏耶
ん。わかった。あけとく。


今年は。
一味違う夏に。

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