思ってた以上に光がなく、静かだ。
奏耶に散々すきすき言われてきたが、未だに
こういうセリフは照れくさい。
ノルマは、100m先にある巻物をとって
スタート地点まで戻ること。
簡単である。
ざわざわ
風で葉が揺れるだけでも恐ろしい。
怖すぎる
人の近くに行くと、少し安心できたような気がした。
えっ、、
肝試しのドキドキじゃない。
この言葉に対するドキドキが、音を増していく。
奏耶は.....
私にとっての何?
付き合えてなくても、私は奏耶が....
そのとき誰かに腕を引っ張られ、
私は草の中に引きずられた。
ああ神様ごめんなさい、私をあの世へ
連れて行かないでくださいごめんなさい
そう思っていた瞬間。
私と一緒にしりもちをついている奏耶がいた。
だから奏耶スタート地点にいなかったんだ。
え。
なんで私「は?」って言われなきゃいけないの?
祭りの日を思い出す。
そんなわけ...!
さっきの告白だってドキドキした。
でも奏耶の告白の方が。
いや、奏耶と話してるだけの方が。
うんと私の心臓は苦しい。
恋愛は難しい。
相手の気持ちが知りたい、わからない、
だけじゃなくて
自分の気持ちもわかんなくなるから。
特に私は。
素直じゃないもん。
そんな私を変えてくれたのは
紛れもなく、奏耶だ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。