ガンっとドアを開けると、
白い着物を着たあなたが居た。
手足と首が太い縄で繋がれていて、
それでも無表情のあなたを見て少し泣きそうになる。
見える部分には所々、鱗が着いていた。
あなたの頬に手を添えてそう言う。
呪力をぶつける。
全部ぶつける。
あなたを殺さないように、
天水分神之の方にだけ…____________
,
片目だけ、片目だけだが、
元に戻ってるあなたに駆け寄る。
右目は光があるが、左目はそのままだ。
「フルネーム長くね?名前で呼べよ」
『無理、フルネームの方が慣れた』
初めて名前を呼んでくれる日が、こんな日なんてな。
だからしっかりしろ
そう言って笑うと、
「う''っ、お''え…」と嘔吐きながら、あなたがそう言う。
パッとあなたが顔を上げる。
ハッとする。
「え、へへ…」とぎこち無く笑う。
大丈夫だから、と笑う。
…んなわけ……っ。
グイッとあなたを引っ張って、抱きしめた。
______NEXT。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。