第4話

頼み事。2
75
2018/02/07 12:59
あなた

本当は、私、死ぬの。

祐介
え?
突然のことに、俺は動揺した。
あなた

病気になっちゃってね、
来年の4月には、もうこの世にいない。

祐介
本当、なんだよな…?
あなた

うん、本当の事。

あなたははっきりとそう言った。
でも、その言葉は、重く、苦しいものだった。
祐介
なんで、俺に言うんだよ、そんな大事なこと。
あなた

好きだから。
フラれても、やっぱり、好きだから。

気のせいか、あなたの目にうっすらと涙が浮かんでいた。
祐介
…朱里には、言ってないのかよ?
あなた

うん、祐介君以外には、誰も言ってない。
だから、祐介君しか、私の秘密を知らないの。
別に、そんなの嫌だっていうなら、みんなに広めたっていいよ。

祐介
そんなことは、しないけどさ、
俺に、なにかできること、あんの?
そんなこと、するわけが無い。
だって、俺は…
あなた

してほしいことなら、あるかなー。

祐介
何?
あなた

キス…してくれない?

祐介
あなた

やっぱり、嫌だよね、ごめんね。
馬鹿な事言っちゃって、ごめん。
ただ、ちょっとだけ、失恋したなんて
思い出を消したいなーなんて思ってて。

俺は、あなたの言葉を聞き、一瞬驚いたが、我に返った。それと同時に、俺は、あなたにキスをした。
祐介
これで、いい?
あなた

え、あ、なんで?

あなたは、目を丸くしながら、俺を見た。
俺は、照れないように振る舞うので必死だった。視線に耐えられず、俺は、荷物を持って、
祐介
じゃあ、また明日な。
とだけ言った。そして、急いで昇降口に向かった。

なんでって聞かれてもなぁ…
だって、俺は、あなたのことが、好きなんだから。

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