第11話

約束。2
58
2018/02/16 15:40
夏休みまで、あなたはずっと俺と一緒に帰ることを頼んできた。

でも、それだけしか頼まなかった。
そこで、ある日、俺はあなたに聞いた。
祐介
なぁ、毎日こんなことだけで本当にいーのか?
あなた

いいの。

あなたの顔はちゃんとは見られなかったけど、哀しげに見えた気がした。でも、俺はそこには触れずに、ただ、
祐介
あっそ。
とだけ言った。

気にならないと言ったら嘘になる。
だけど、あなたが俺に、大して何も頼んでこないことに、きっと、嫉妬していたんだ。

毎日一緒に帰るせいで、友達や、色んな奴から付き合っているのか聞かれたが、俺たちが否定したので、噂はそこまで広まることはなかった。

そうだ、俺は否定したんだ。
好きではないと。
あなた

ねぇ、じゃあ、夏休みは、一緒に遊ばない?

祐介
部活は?
確か、あなたの入っている吹部は、練習量がかなり多いはずだ。友達が、年に数える程度しか休みがないことを愚痴っていたのを、俺はふと思い出した。
あなた

あ、忘れてた。

祐介
おいおい、一応副部長だろ。
あなた

一応ね♪
残り短い命なんだから、別にいいでしょ〜
神様も許してくれるって!

あなたは、笑っていた。
でも、その笑顔はわかりやすいくらい、引きつっていた。
祐介
そうだな。
あなた

そうだよー

俺は、あなたを見なかった。
いや、見られなかった。

頼むから、そんな顔して、平気なふりするなよ。もっと泣けばいいだろ。喚けばいいだろ。

いつのまにか時間が経ち、あなたの家に着いていた。
あなた

約束は、破っちゃだめだよ。

あなたはそう言った。
祐介
…分かってる。
そうだ、秘密なんだ。
お互いの気持ちすら、秘密なんだ。
秘密の友達だから。

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