第2話

留学する。
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2018/01/28 09:00
中3になったばかりの春、私は、とうとう決意した。そして、親友の朱里に、こう言った。
あなた

私ね、中学卒業したら、留学するんだー!

朱里
え!?嘘でしょ?なんで今まで言ってくれなかったのー。
あなた

だから、今言ってるじゃん。

朱里
そういうことじゃなくて…
てゆーか、ほんとに?
あなた

ほんとだよ。

朱里
えー、寂しいなー。あなたがいなくなったら、私は誰を毎日いじればいいのー。
あなた

いじらなくてよろしい。
っていうか、私もいじらなくていい。( ˙-˙ )

朱里
そっかー、あなたが留学かー。
成長したねぇー。
あなた

成長ってなによ。

朱里
だってー、中1のころ、あんた、いっつもオドオドしてて、何も喋らずに、ずっとクラスの片隅で本読んでるただの陰キャラだったじゃん。
あなた

うっ…一言どころじゃなくていろいろ余計。

朱里
なんで急に留学なんて言い出したのー。
たしかに人見知りではあったけど、陰キャラとまではいかないはず……
あなた

別に急じゃないよ?
去年から考えてたことだもん。
それに、今までだって、高校から留学する先輩はいたじゃん。

うちの学校は中高一貫だから、高校になったら、希望する人は留学することができる。
朱里
一言くらい言ってくれればよかったのにー。
あなた

だって、朱里、口軽いじゃん。
まだ決まってもいない時に、クラス中に広まったら大変だし。

朱里
いや~そんなに軽くはないと思うんだけどなぁ~。
あなた

絶対軽いって。

その後、私はクラスで仲の良い子たちに、そのことを伝えていった。
予想通り、私の留学の話は広まっていった。もちろん、祐介君の耳にもそのことは届いていた。
一週間後の金曜日の放課後、私は祐介君に声をかけた。
あなた

ねぇ、ちょっといい?

祐介
ん?別にいいけど。
あなた

私、留学するって言ったでしょ?でも、あれ、嘘なの。
本当は、私…

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