ある程度言葉も喋れるようになってきた。
カインもシオンも最後にンがつくのだが、それの発音はまだらしい。
ふたりとも名前を呼ぶときはン抜きの名前になっている。
どちらにせよ可愛いからいいのだが。
デイヴィスは休日や休みがあると必ず遊んでくれていた。
少しは休めと言って出かけにも連れて行ってくれる。
ここまでの間、父親の家が出てくることはなかった。
だからといって気を抜いてはいけないのは承知している。
俺たちが職場にいる間はどちらかの職場に預けるか、友人の家に預けるようにしている。
保育所でもいいのだが、もしものことを考えるとより安全なのは友人だ。
クロウリーだけは一度面倒を見てもらったことがあり、その際に交流を深めていた。
小ささに驚いてこそいたが問題はないだろう。
わしゃわしゃと頭を撫でて心の不安を紛らわす。
もしもこの二人が連れて行かれたら。
もしもこの二人に危害が及んだら。
その原因を作っているのは俺ではないのか。
どうやら、杞憂だったらしい。
どれだけ不安の霧がかかっても、ここなら照らしてくれる。
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頼んでいたクロウリーは出張へ。
デイヴィスは授業で、俺が急遽補佐に入ったからユウ達に頼むことになった。
ユウは割としっかりしているし、何かあればデュースがいるし、遊び相手にはエースとグリムがなるだろう。
不安が少しもなかったといえば嘘になるが、どうやら大丈夫そうだ。
二人を抱きしめて目線を合わせる。
エースの方へ行ったシオンを横目にカインと目線を合わせて話をする。
ユウとは約束をした。
元の世界に帰るまで、俺が家族になると。
血が繋がらなくとも、その関係は今でも続いている。
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作者です!
喋れる程度には成長させたのですがどうでしょうか…
すでに高校生バージョンも作ってあるので早くお披露目をしたいと待ちわびております!!
今のところカインくんは甘えん坊さん。
シオンちゃんは冒険家さん。
という感じで進んでおります。
ではまた!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!