第88話

家族
591
2023/05/27 00:03
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
……

あれから2日経つ。

何を意地張っているんだとも自分で思うが、認めたくないという気持ちが強すぎる。

もしも妊娠していたら、もしも今ここにいるのが俺だけではなく、子供も一緒なのだとしたら。

デイヴィスは俺に愛想尽きて何処かへ行くかもしれない。

だが、半分認めつつある。

検査結果は陽性だった。

あとは俺が認めるかだ。
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
…これから…どうするか…

事務所には顔を出している。

と言っても持ち帰りの仕事にしたので業務はここでやっている。

和の国に屋敷を置いておいてよかったと思っている。
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
……、📞はい
調査員A
📞今どこにいるんですか!
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
📞何かあったのか?
調査員A
📞2日も家に帰ってないって…
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
📞あぁ。
調査員A
📞何があったんです?
俺でいいなら聞きます。
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
📞…当分は帰らない。

そう言って俺は電話を切った。


子供を降ろすつもりはない。

デイヴィスに愛想を尽かれたとしても、俺と子供で生きていく。
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
……
現実的ではない。

そんなことはわかっているが、自分の心の中の恐怖には逆らえない。
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
…悪いな、デイヴィス

誰もいない空間に、ふとこの場にいて欲しい人の名前を呟いた。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

クルーウェルside
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
…ただいま

誰もいない家に消える声。

今日が終われば3日目を迎える。

ユウの言う通り妊娠しているのだとしたら一大事だ。

だが、妊娠しているからといって俺の前から消える理由がわからない。
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
…パソコンは置きっぱか。

いつもあなたが使っていたパソコンが目に入る。

理由もなくパソコンを開いて検索ボックスをクリックする。

そして見えた検索履歴。
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
!…そういうことか。

あなたの分のコートも持って、俺は家を飛び出した。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
腹減ったぁ…
家に食材はあるものの流石に在庫も切れてきた。

そろそろここを出て買い物にでも行かなければ…


そんなことを考えているとまた猛烈な眠気に襲われて、俺はその場で目を閉じてうずくまった。
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
……
ガチャ
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
?…
起き上がろうにも起き上がれない。

体が重い。

合鍵を持っているのは数少ない人間だが、万が一の可能性がある。

この状態では対処ができない。
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
…諦めるか。

俺が弱っている状態に攻めてきたこと、戦略としてはパーフェクトだ。

気分が落ちているので応戦する気にもならない。
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
あなた!
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
…は、
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
ッ…どうしてベッドに行かない!
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
体が重くて…はは、
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
笑い事じゃない、冷え切っている…

会いたくなかった。会いたかった。

今伝えたら、離れていくのだろうか。
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
デイヴィス、
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
なんだ
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
俺から…離れていくか?
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
どこにも行かない。
何処かへ行くのはお前の方だ。
……少し我慢しろよ、

抱き上げられてベッドまで運ばれる。

伝えなければいけない。

例え、離れるとしても。
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
デイヴィス
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
なんだ、
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
赤ちゃんができた。
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
………

デイヴィスはその瞬間を切り取ったかのように固まった。

やはり、
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
ふ、…そうか、家族が増えるな。
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
…離れていかないのか
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
行くわけ無いだろう。
愛するあなたとの子供だ。
どんな子供でも愛してみせる。

杞憂だったようだ。

デイヴィスは俺が考えているよりもずっと、温かい。

いつも悪役になりきれない。
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
そんなことで家出したのか?
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
……
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
まぁ、見つかったから良しだ。
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
なぜここがわかった
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
お前の検索履歴を見た。
妊娠がわかって閉じ籠もる場所といえば、ここしかないからな。
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
野宿という可能性もあるだろう
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
あくまでも子供のことを考えるはずだ。
野宿は考えに含まれなかった。
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
…ふふ、
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
どうした?
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
会いたかった。

デイヴィスの首に腕を回す。

とても長かったように感じる。

たった3日会っていなかっただけなのに、ずっと会っていなかったように感じる。
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
さぁ、病院に行こう。
気持ちの区切りはついたか?
(なまえ)・クルーウェル
あなた・クルーウェル
あぁ。
デイヴィス・クルーウェル
デイヴィス・クルーウェル
ふ、ありがとう

デイヴィスに抱きしめられたことが、とても幸せに感じた。

プリ小説オーディオドラマ