杏奈「.....(なんなんだろ、今の。)」
杏奈は会場の外で1人で頭を抱えていた。先程のレイジングの強い反応の事だ。こんなことは初めてだが、なんとなく強いレイジング使いがあの会場の中にいるのが本能言う他ないもので察知出来た。それも明らかに自分や衛の力を上回っていて恐怖すら感じたのだ。
杏奈「はぁ....なんかモヤモヤする.....」
杏奈が再び会場に戻ろうと扉を開けるとちょうどマリエイヌと美琴が通りかかる。よく聞こえはしないが、美琴は何やらマリエイヌを褒めていて、マリエイヌは子供のように無邪気な笑顔を見せていた。彼の身体には浅い切傷があるが杏奈は2人からの距離的に気づいていなかった。
杏奈「.....(....なんか胸騒ぎが凄いな...)」
杏奈は床の赤い絨毯をただぼーっと眺めながらとぼとぼ歩いていると、誰かにぶつかってしまった。杏奈はハッとして我に帰ると顔を上げる。
杏奈「ご、ごめんなさい!考え事しててつい....」
?「......お嬢さん、何かお悩み事かな?」
ぶつかった相手の容姿は、全身ほぼ七色の太くて長いものに纏われていて、黒いぴっちりの肘より長めの手袋を付けていて紺色のズボンに黒ブーツにグレーのマリエイヌと同じ形の腰布を付けている事だけは分かるが、顔と口は長いもので隠れていて素顔が分からない状態だった。
杏奈「え、えっと..........」
?「ああ、怖がらなくても良いよ...君が今まで戦ってきた奴らと同族だからね、僕は。」
杏奈「そ、そうですか。」
衛「杏奈、何してんだ....ってわぁぁ!?」
衛がいつまでたっても戻ってこない杏奈にしびれを切らしてやってきたが、杏奈と衝突した者の容姿に怖気付いて尻餅を付く。
?「おやおや、だから怖がる必要ないって。ちなみにこの鎧は訳あって外せないし素顔も見せられないんだ。許してくれ。」
衛「びっくりさせんなよ!」
ザガロ「あれ、君らも来てたんだ?」
杏奈「あ、ザガロも来てたんだ!」
卓郎「ま、彼もレイジング使いだし?」
衛「お前いつの間に...💧」
なんやかんやで4人のレイジング使いが集まり、再び彼の方へ注目を一斉に向ける。
?「では、皆さん勢揃いなので改めて...君、白石杏奈って言うんだろ?」
杏奈「は、はい」
衛「おい、お前何者なんだよ!何の神なんだよ!」
?「ちょ...こっちの話を遮らないでよ...まあ、詳しくは言えないけど、邪神とだけ言っとくさ。」
ザガロ「邪神...?」
邪神「マリエイヌとかいう奴には関わるなよ...。絶対にな?」
杏奈「え?な、何で」
邪神「....なんでもさ、とにかく、マリエイヌには一切干渉するな、いいな。」
全員「.......。」
邪神に圧倒され、全員は黙り込む。そして邪神は何も言わずに立ち去った。すると、突然会場、いや、島全体が揺れだした。中の人達は慌てて安全な場所を求め走り回る中は天井のシャンデリアやキャンドル、窓などが、ガシャンガシャンと割れていく。
卓郎「なんの騒ぎだ!?」
衛「まさかあの邪神の野郎か!」
杏奈「いや、これは...何か別の気配を感じるよ!めちゃくちゃデカい!」
ー深海ー
?「.........。」
to be the continued
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。