杏奈「ただいまぁ!ってあれ?」
杏奈は学校から帰って家に入ろうとすると、ポストに新聞やら手紙やらが溜まってはみ出ていた。杏奈がポストから手紙などを全て取り出した瞬間、不自然に縁が金色の黒い封筒が目に留まる。それを拾うと、何やらドクンッと一瞬心臓が強く唸る感じがした。直感か何かが嫌な予感を察知しているのかがわからないが.....。
杏奈「.....この胸騒ぎ...なんだろ....」
杏奈が封筒を開くと白い便箋に綺麗な文字が記されていた。
白石杏奈様
この度は、レイジングの覚醒、おめでとうございます。我々はレイジングに関する研究をしています。見事レイジング使いに目覚めた貴方を賞賛し、パーティを開きます。お友達の方も是非誘って来てください。お待ちしております。
住所 死の孤島 デスアイランド 断罪館
氷室財団
杏奈「\( 'ω')/ヒィヤッハァァァァァァァア!!!パーティ!ご馳走食べ放題じゃぁぁあ!....って誰が行くかそんな怪しいパーティ!!舐めんな!💢」
と、ノリツッコミをかます杏奈。彼女は普段のほほんとしているがこういう場面では冷静である。
杏奈「はあ💧見なかった事にしよ...」
ー翌朝ー
衛「はあ?じゃあ、お前らの所にも来たのかよ、変な招待状!」
卓郎「僕の所にも届いたよ...」
なんと卓郎と衛にも同じ手紙が届いていたのだという。3人で暫くポカーンと間抜け面を見せあっていると、そこにある人物が...
担任「どうしたの、3人とも?」
彼らの担任教師である、少しピンクが混じった長い金髪、中性的な顔つき、背が高く、ワイシャツとジーパンの男性だった。
卓郎「あ、すみませんブラウ先生」
ブラウ「授業始まるよ〜?夏目君も自分の教室に戻りな」
衛「へいへい」
こうして3人はモヤモヤしたままそれぞれの教室で授業を受けることに。
ーーーーーー
マリエイヌ「........」
少女「....頑張って。」
マリエイヌ「余計なお世話だ。」
ーーーーーー
日曜日の朝、杏奈達は巨大な客船に乗って、目的地まで向かっていた。
衛「....変な感じしたらこっそり帰ろうぜ?」
杏奈「島を泳いで帰るってのか君は💦」
卓郎「...何か、島が見えたね、あれかな?」
卓郎は向こうに見える巨大な島を指さす。その真ん中には大きな赤黒い建物が見える。
衛「おいおい、やっぱ帰ろうぜ?」
杏奈「今更無理だよ!覚悟決めよ!」
衛「くそ...」
3人は船から降りると、ジメッとくる蒸し暑さ、そして何やら不穏な空気を感じた。それでも引き返せまいと進み続けた。暫く歩くと、先ほど卓郎が指さした建物が見えた。改めて目の前で見ると、かなり見上げないと頂上が見えない。
衛「本当に...入るしかないのか?」
杏奈「行くよ」
衛が少し怖気付くも、3人で一緒に建物の中へ入った。そこには、見た感じ、黒いタイル床、金のラインが入った白い壁、天井には巨大な金色のシャンデリアがあり、奥には赤絨毯が敷かれた大階段があるエントランスらしき光景だった。階段の先には、丈が膝の下位までのピンク色のドレスの赤髪の杏奈達と同い年位の少女が丁寧な姿勢で立っていた。
?「....ようこそ、断罪の館...DESTRUCTIONへ。」
卓郎「断罪の館?」
杏奈「でぃすとらくしょん.....?」
衛「やっぱヤバそうじゃねえか!」
すると更に、何やら杏奈に取って見慣れた人物が奥の扉から入ってきた。
マリエイヌ「......美琴、両親が呼んでいる、来い。」
美琴「分かったわ、それでは会場へご案内致しますので着いてきてください。」
美琴はマリエイヌと一緒に扉の向こうの通路を歩き始めた。3人も後を追うように歩き始める、先ほどのエントランスよりも遥かに広い、クロス付きテーブル、椅子が沢山置かれたパーティ会場に着いた。
衛「....すっげぇ....」
杏奈「こういうのってワクワクしない!?」
卓郎「元気だね。」
美琴「では、ご指定の席にお座りになって待っていてください。」
3人は素直に椅子に座り、それぞれ水を飲んだり、寛いだり過ごしていた。よく見ると、様々なドレスやスーツを来てゆったりしている男女も楽しそうに騒いでいる。すると....
ガシャンッ!!
全員「!?」
いきなりガラスが割れるような音が聞こえて会場にいた全員が身体を跳ねらせて辺りを見渡す。すると、縞模様の服を着た男が数人現れ、近くにいた女性を捕まえて宣言した。
男「全員動くな!このアマが死ぬぜ?」
女性「いやぁ!」
衛「やっぱやべえ事起きた!」
卓郎「まずいね...」
杏奈「助けなきゃ.....でも女の人が人質にされているから....」
男「レイジング使い共は動けんようだなぁ?笑っちまうぜ」
杏奈「あんた、誰よ!」
男「俺はここから出て自由になるんだ!邪魔すんなら蹴散らす!」
杏奈「っ.....」
マリエイヌ「.......」
すると、マリエイヌが男に割り込んで来た。その顔は凍るような恐ろしい顔であった。それを見た杏奈達は疎かパーティに来ていた者達全員が凍りつく。
男「ひっ....」
マリエイヌ「....早く牢に戻れ...」
男「いだだだ!」
マリエイヌが男の頭を強く握っていると男は苦しそうに叫んだ。大半の人々は男への恐怖よりもマリエイヌの恐怖の方が上回った。
マリエイヌ「.....早く....!」
男「は、ひぃ、すみませんでじだ...(´;ω;`)」
男は情けない怯え顔で泣きながら去っていった。すると、マリエイヌに向けて歓声と拍手が一気に迫り、マリエイヌは少し困惑気味。
杏奈「すっご」
衛「マジかよ」
卓郎「恐ろしい圧力だ...」
なんてことを言っていたら、美琴が慌てた様子で駆け抜けて来た。全員の様子を確認してからマリエイヌの方を見て心配そうに問う。
美琴「皆怪我はない?大丈夫だった!?」
マリエイヌ「...全員怪我は無いから安心しろ...」
マリエイヌはこくこくと感情がないように真顔で頷く。少し違和感を感じる...。そして、プログラムの最初に美琴によるスピーチが開催された。
美琴「皆様、今日は大変忙しい中お集まり頂きありがとうございます。これより、白石杏奈様、夏目衛様のレイジングの覚醒を記念して、盛大にお祝い申し上げます!是非楽しんでくださいね♪何故このパーティを開催したのかというと、杏奈様達にはこれから、レイジング研究科の協力を元に、その力で世界を守る組織に介入して貰うためです」
杏奈「へ?」
衛「組織?」
卓郎「......。」
杏奈「白石健様からお聞きでしょうが、この部屋には更に広いデュナミスがあるのです。」
杏奈「あの、1つ気になったんですけど、ここは何ですか?」
美琴「ここは、デスアイランド最大の館、DESTRUCTIONです。罪を犯した者達が入る場所...」
衛「....やっぱ危ないとこじゃんか!」
美琴「氷室家代々受け継がれて来たこの館は...今では私が氷室の末裔なのです。最も罪の重い人間、または他族関係なく、容赦なく、冷酷に、残忍に裁きます。」
杏奈「.........。」
杏奈は悟った。あの招待状を見た時と同じ感覚だと、感じていた嫌な予感は、これだったのかもしれないと...。
美琴「....改めてようこそ...死の孤島へ♪」
to be continued
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。