第18話

#18
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2019/08/01 08:24
カランコロン…
貴久
あ、きたきた。
あなた
…ごめん、来れなくて。
貴久
いいよ、仕方ないし。
ふわっと笑った貴久。
貴久
今日はめいっぱい飲みな。
そう言って出したのはハイボール。
カクテルじゃないんだ…としょんぼりするけど、きっとこれも貴久なりの配慮なのだろう。
あなた
祐也くん、来てないの?
貴久
あれから1度もね。
俺知らない人の話聞くの好きじゃないんだよなぁ。お前らがいないと知らない人がカウンター座るから。
あなた
ふふっ、なにそれ。
今日の貴久、なんか面白い。
多分、私を元気づけようとしてくれて…
里恋
ねぇ〜、いいじゃない?
絶対気持ちいいから…
祐也
里恋、お前今日仕事じゃねぇだろ。
里恋
だからぁ、あんたに会うためなら毎日でもここに来るわよ?
貴久
…うそだろ。
やだ、なんで今日……。
里恋
あ〜、ハロー♪
貴久のお墨付きちゃん♡
あなた
お、おす…???
嫌味ったらしく笑う紅い口紅。
無性にイライラする顔。
だけど、何故か悲しみはなかった。
祐也
お願いだから、もうまとわりつかないで。
里恋
そんなこと思ってないくせに。
祐也
思ってないことは言わない、そういうやつって知ってんだろ。
貴久
…ごめん、外でやってくんない?
里恋
は?あんたは黙…っ
その瞬間、パチンと鈍い音がした。
里恋
な…祐也!?!?
祐也
これ以上、俺に近づくな。
里恋さんの頬が真っ赤に染まっている。
腕を下ろした祐也くん。

祐也くんが、里恋さんに平手打ちをしたのだ。
里恋
……あんたなんか、私にとってただのセフレだったのよ……!
捨て台詞のように言葉を吐いてどこかへ逃げてしまった。
祐也
…セフレ、ねぇ。
貴久
あんな捨て台詞初めて聞いた。
祐也
捨て台詞になってないけどね
あなた
え、な、なんで?
祐也
俺にとってのセフレだったから?
あなた
えっ
祐也
あいつからずーっと迫られててさ…「私のこと抱いて」「キスだけでいいから」ってね。
祐也
だから1回だけベッドに入ったら、味をしめちゃったみたいで。
貴久
うわぁ…。
祐也
…ま、今度は俺の番かもしれないけど。
あなた
…どういうこと?
祐也
俺があなたちゃんに迫っちゃうかも。
貴久
……。
あなた
……ヴァンパイアに抱かれたら、どうなっちゃうの?
祐也
俺と…同じになるのかなぁ…。
あなた
……………。

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