第5話

#5
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2019/04/03 04:06
俺は、正直に言ってあなたが好きだ。
俺に甘えてきて、無防備で、だけど仕事になると急に真面目になる。そんなあなたの癒しの場所を作ってやりたい、と思ってる。
だけど、今のあいつの癒しは祐也なわけで。

カクテル言葉は知っている。自分の店に置いてあるカクテルの言葉くらいなら。

だから俺はあなたにアプリコットフィズをプレゼントした。
…それなのに、知らないとか……。
アプリコットフィズのカクテル言葉は…
【振り向いてください】。
アプリコットフィズのカクテル言葉くらい覚えとけよ…なんて、言えるわけもなく。
本当は俺の気持ちに気づいて欲しかったけど、俺の口からこの言葉を言うのはめちゃめちゃ恥ずかしい。
そこに、祐也が到着…。
あなた
あ、祐也くん、アプリコットフィズのカクテル言葉って知ってる?
祐也
知ってるよ〜…………あっ、でも、あなたちゃんには教えない。
なんだよその目、喧嘩売ってんのか?
あなたが祐也くんにもプレゼントしてあげてなんて言うから、ちょっとこいつをやる気にさせてやろう。
あなたはバカだから気づいてないけど、祐也は人間じゃない。

…きっとヴァンパイアだ。
そんなヴァンパイア様に良いカクテルをプレゼント。トマトジュースが入ったカクテル。
ブラッディメアリー。
カクテル言葉は【断固として勝つ】。

本当に頭の回転が早いヴァンパイアだ。
もう俺の気持ちに気づけるなんて。
まあ、それを狙ったのは俺だけどな。俺もゆっくりしてられなくなってきたなぁ。

そろそろ本気で堕としにいくか。
待ってろよ、俺のコザック─────

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