第16話

#16
529
2019/05/28 10:03
貴久
里恋りこさん、もう定時ですよ。
里恋
んー?
まぁだ。祐也が来てないじゃない。
なんだよ、こいつ。
そんなに祐也が好きなら、自分から会いに行けばいいのに。ほんと女って分からねぇ。
カランコロン…。
貴久
いらっしゃ……なんだ、あなたか。
あなた
ひどくない!?
祐也
俺もいますけ……
祐也
…なんで里恋がここにいるんだよ。
里恋
えぇ?そっちもひどくない?
里恋
私は祐也に会いたくて来たのに。
お、おぉ…なんかバチバチしてるなぁ。
あなた
……っっ!?!?///
あなたの顔が真っ赤になって、固まった。
俺も同じく固まってしまった。
里恋が、祐也に腕を回しキスをしたからだ。
祐也
んっ……!?
里恋
…ん……ふふ♡
祐也
…っふざけんな!
里恋
えっ!?
その瞬間、あなたが店の外へ飛び出した。
貴久
あなた!!!
その後、祐也と里恋がどうなったかは知らない。
俺はただひたすらにあなたを追いかけた。あんなに悲しい顔をしたあなたを、ほっとけるわけない。
あなた
やだ、見ないで…!
貴久
黙って!!
あなた
んぅ…!
泣きわめくあなたの腕を掴んで無理やりこちらを向かせ、深く口付けた。
嫌がることなんて分かってる。
俺に気がないことなんて分かってる。
でも、こうでもしないと、あなたを抑えられなかった。
貴久
ん…ふ
あなた
あっんん…!ん、やぁっ。
貴久
…っは。
目え覚ませ。
あなた
さま…っ、覚ませなんて、!!
貴久
いいから覚ませ!
あなた
!?
貴久
お前…あいつが喜んでるように見えたかよ。あいつが受け入れてるように見えたかよ!
貴久
俺には全く見えなかったね。
あなた
…それは、だって!
あなた
嫌なものは嫌だもん!
好きな人が、知らない人とキスするなんて!!嫌だよ!
貴久
気持ちがないキスなんて、キスじゃない。俺はそう思ってる。あいつもそうじゃない?
あなた
……そう、だけど…。
貴久
里恋さんには俺から言っとくから、今日はゆっくりしてろ。
あなた
あり…がと。
貴久
おう。
こんなことしても、俺には振り向いてくれないんだよな───

プリ小説オーディオドラマ